↑ トップ頁へ

2005.6.8
 
 


スパコンのファイル検索システムの登場…

 なるほど、これは凄いとうならされたのは、Dr. John Wu の“Grid Collector”技術。[2005年6月24日のInternational Supercomputer Conferenceで講演予定(1)]

 分かり易い言葉に直せば、Bitmap Index技術の一環としてのデータ分析技術だ。(2)
 かえって解りにくいかもしれないが。

 要するに、膨大なデータ蓄積が簡単にできるようになってしまったため、必要な情報を探す道具が必要になってきた訳である。このニーズに応える方法が登場し始めたということである。
 すでに、一般の人でもテラバイト近くのデータを所有している人も多いから、この系統の技術は今や華である。
 ウエブでは古くからGoogleがその役割を担っているし、パソコンでは最近上市されたAppleのTigerに検索機能(Spotlight)がついている。といっても、これらは、文献キーワード検索に近いから分野は一寸違うが。

 もちろん、専門家用には様々な検索ツールが開発されてきた。
 この分野で先端を行くのは、4文字の膨大なデータを解析するゲノム分野(Informatics)だと思っていた。

 ところが、高エネルギー物理学分野で登場してきた。もちろん理論物理学ではなく、実験物理学の領域での話しだ。
 よく考えれば、インターネットのWWWも、もとはといえば、広域情報検索システムそのものである。開発者はCERN(ヨーロッパ素粒子物理学研究所)だった。1989年のことである。
 この分野の力はたいしたものである。

 とはいえ、開発されたのは、衝突させて得られた膨大なデータBitmapを圧縮して、そのなかからパターンに合ったものを見つける効率的な方法だけである。どの程度汎用的に使えるのはよくわからない。

 しかし、特殊用途とはいえ、グリッドコンピュータでのファイル検索システムが登場し、ペタバイト以上のデータの短時間検索が可能になったことは画期的である。

 有限要素法シュミレーションに携わるCAEの人達のなかには、ついに始まった、との印象を受けた人もいるのではなかろうか。将来の話だが、条件を変えた膨大なデータを蓄積しておいて、後から必要な現象パターンを簡単に探しだすこともできそうだからだ。

 WWWは僅か数年で世界に普及した。
 グリッド型スパコンが一般化すれば、すぐにこの手の検索が可能になるかもしれない。

 --- 参照 ---
(1) http://www.supercomp.de/index.php?s=conference&unterseite=abstract&abstract=70
(2) http://www.lbl.gov/Science-Articles/Archive/CRD-STAR.html


 技術力検証の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2005 RandDManagement.com