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2005.9.1 |
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Boulderの無線LANの話を聞いて感じたこと無線LANのアクセスポイント設置費用は今でも十分安価であるが、それがさらに10分の1になったと聞いたら誰でもが驚くのではないか。僅か1年半前に創設された米国のベンチャーがそんな装置を開発したのである。(1) と言うと、いかにも打ち上げ花火的な、過大な期待を抱かせる発表があったと受けとられがちだが、全く違う。 米国コロラド州のBoulderで稼動し始めたという。 このコンセプト自体は素人でも予想できる。ユビキタスで先頭を走ると称するなら、こうした類の製品は、先ずは日本発で登場して欲しかった。 おそらく、国内ではお金を払ってくれそうなお客さんが見つからないから、こんな挑戦をしないのだと思う。 そんなことをつい考えてしまったのは、この装置が日本が戦略的に重要と考えている太陽電池を使用していたからである。 太陽電池の応用分野を広げるために尽力している人は多いと思うのだが、この類の挑戦の話を聞いたことがない。業界と官庁で足並みが揃って、補助金体制が揃いそうにない分野での挑戦は避けているのではなかろうか。 無線装置に電力供給する太陽光発電ステム自体のニーズはわかっていても、既存の枠組みを崩さず粛々と進めるべきと考える人が主流派なのだろう。 そのため、設置済みの装置の電力源代替の試行が行われたりする。(2)どうせなら、社会を大きく変えるような試行をして欲しい。 Boulderで稼動している太陽電池は、1日の照射が5時間で十分な設計だという。日本では5時間は無理かもしれないが。 言うまでもなく、802.11a/b/g対応である。 できる限り早く日本全国を高速インターネットで結ぼうというのだから、同じような発想で、安価な802.11gのアクセスポイントを至る所に設置する提案があってもよさそうなものだ。 そうならないのは、規格の見通し論議に時間を使っているのではないかと思ってしまう。日本はこんな話ばかり盛んだからだ。 読めない将来の議論をするより、大きな流れが間違っていないなら、今できることを早く進めてみる方が重要だと思うのだが。 インターネット化で遅れた教訓を学べば、これは極めて重要な原則だと思うが、未だにそうならない。 先は完全に読めないとしながら、粛々と“重い”仕組みを作りあげようとする人が多い。できるだけ“軽い”仕組みにして、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返せる柔軟な仕組みで行こうと主張する人は敬遠されるのである。 例えば、802.11gがとてつもなく安価になったら、多少寸足らずで欠点はあっても、一気に、使える仕組みを作ったらよいのである。そうでないと、「技術革新」を狙う研究開発がダラダラ続くだけである。応用場面は広がりようがない。 結局のところ、後発・急速キャッチアップ型になってしまう。 と言っても、風土を変えよ!などというスローガンは無意味だ。 皆、わかっていても、動くと損になるから変わらないだけの話だからである。 それでは、何から始めたらよいのか。 実は単純である。安上がりな挑戦ができるようにすればよいのである。 これは補助金では解決できない。 どういうことか説明しておこう。 現実に挑戦計画を立てればすぐにわかるが、日本ではそんなものも手に入るが、安価な標準品が欠乏しているのである。 例えば、無線装置稼動用の太陽電池システムを考えてみよう。 必要なものは、4つある。 ・太陽電池パネル ・コントロール装置 - 充放電制御とバッテリー電圧監視 - 逆流防止と過電流発生時の回路遮断 ・蓄電池 ・インバーター(直流から100Vの交流へ変換) 安価なシステムを組もうと思ったら、先ずは以下の2つの選定から始まる。 ・コストパフォーマンスに優れた多結晶シリコン太陽電池モジュール ・過酷な充放電に耐える12Vの鉛電池(非自動車用) 言うまでもないが、使用する蓄電池の充電係数とコントローラによる電圧低下があるから太陽電池の電圧が15〜17Vのものを使うことになる。 太陽電池メーカーは様々あり、研究開発も活発だが、これに適した安いものがゴロゴロしているだろうか。 様々なモデルのオンパレード状態だが、このレベルのものが特に安いという訳ではない。 安価な標準品が無いから、安くするために、20%程度のロスが見込まれるインバーターを付けずに、直流12Vをそのまま使えないかということになるかもしれない。 そうなると12V対応の電気器具があるのか、という問題にぶつかる。言うまでもないが、様々な電圧の機器はある。しかし、安価な標準的器具は見つからない。 おわかりだと思うが、細かな仕様を色々試すには、日本は驚くほど便利だ。ところが、どこでも手に入る安価なモノを集めて新しいコンセプトで一寸試してみようと思っても、そう簡単にはいかないのである。 こんなに安モノでも、結構使えるものができるぜ、という挑戦はなかなか難しいのである。 --- 参照 --- (1) http://www.luminip.com/products.html (2) http://www.ntt-tec.jp/technology/C311.html 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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