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2005.9.8
 
 


Whirlpoolに学ぶ

 2005年8月、WhirlpoolがMaytagを買収した。(1)

 中国の大手白物家電企業 海爾(Haier(2))の買収を阻止した投資家集団(Triton Acquisition Holding)に4,000万ドルの契約違約金を支払っても、Maytagを手に入れたかったようだ。

 と言うのも、Whirlpoolは売上130億ドル、Maytagは売上47億ドルだから、合併で約2兆円規模の世界最大の白物家電企業が生まれるからだ。すでに、市場では、巨大化したElectrolux(3)とのグローバル競争に突入しているから、プレミアムを払っても規模を追及したかったのだろう。

 同じことは、急成長しているHaierにもいえるが、中国企業による米国企業の買収を好まない勢力が根強いから、Haierはやむなく降りたのだろう。ドルの還流が命題となっている中国政府の後押しも奏功しなかった訳だ。

 米国の労働事情を考えると、米国企業に任せるより、中国企業に買収された方が雇用が安定するようのではないかと思ってしまうが、Whirlpoolは別格だから、そんな見方は間違っているかもしれない。

 と言うのは、Whirlpoolはグローバル体制構築では有名だからである。(4)

 この会社が米国国内工場閉鎖を決めたのは1980年代のことである。言うまでもないが、AV家電とは違い、日本の脅威など僅かである。にもかかわらず、技術開発力があったドイツでの生産に踏み切った訳である。Maytag、Miele、Bosch、AEG(現Electrolux)といったブランドと戦うための当然の決断だったと言えよう。  そのお陰で、今でも、独製洗濯機の米国輸出シェアトップはWhirlpoolだという。

 現在、電子レンジの開発拠点はスエーデン。

 要するに、グローバル優位が実現できそうな地域に部隊を集約する方針である。

 生産拠点についても、自給1ドルの中国一辺倒ではない。冷蔵庫製造はブラジル。中国に比べれば桁違いに時給が高い米国でも拠点があるそうだ。オハイオ州で食洗器を生産しているという。

 顧客の満足を得られるなら、技術、知恵、スキルがあれば、地球上のどこだろうが開発・製造拠点を設置するという訳だ。これが、競争優位を保証する王道と考えているのである。

 実態はともかく、正論だと思う。

 --- 参照 ---
(1) http://www.whirlpoolcorp.com/news/releases/release.asp?rid=303
(2) http://www.haier.com/
(3) http://www.electrolux.com/
(4) Louis Uchitelle “Globalization: It's Not Just Wages; For Whirlpool, High-Cost Germany Can Still Have Advantages” [2005.6.17]
  http://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F60913FD3F5F0C748DDDAF0894DD404482


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