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2005.10.18 |
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デジタル製品のデザインの重要性要求に応えるのに必要そうな機能はすべて備えている高機能モデルだが、見かけはシンプルで、しかもお洒落なデザインの製品というと、日本のエレクトロニクスメーカー製というのが通り相場だった。しかし、一部を除き、その地位から徐々に転げ落ちつつあるようだ。何が欠けているか。 課題は色々あるが、最近気付いたことを一つあげてみよう。 日本企業の製品とは一寸違う、パソコン用19インチ液晶ディスプレー“プレミアムモデル”を眺めてみたのである。(1) といっても、ほとんどの人は、カタログを見た瞬間、単なる新モデルと考えるだろう。 その通りである。 特徴といっても、驚くようなものはない。騒ぐこともなさそうな製品である。 それでは、どこに注目したのか。 デザインである。 この機種はプレミアムというのに、設定ボタンが見当たらない。 実に、シンプルこの上ない。 唯一、気付くのは、さりげなく付いている、ブルーに点灯する電源ボタン位だ。 つまり、この製品は面倒な人は設定無しで十分綺麗な画面を見ることができるが、自分の好みにあわせたいなら、パソコン側のソフトで各自勝手に調整せよという考え方なのである。 さらにこの思想を際立たせるのが、全体の構造である。 液晶画面パネルと、それを支えるアームと台だけで構成されているからだ。すっきりとした印象である。 正確には、まだある。電源入力端子と1系統の映像信号入力用端子がついている小さなボックスがケーブルで台に繋がっている。 入力は1系統だけだが、ケーブルで、アナログ、デジタル両方式に対応している。 しかも、台とアームに特徴がある。アームは折りたたみ式で、台には回転板が組み込まれている。そのため、画面位置を自由に変えられる。もちろん、螺子などない。 左右に90度回転。手前に5度、後ろ側に150度傾けることができる。高さはゼロから134mmまで調節可能。 画面パネルも回転する。 これに合わせて表示も回転できるソフトウエアが付属する。 一時、この機能をウリにしたパソコンメーカーもあったが、今一歩ウケなかったようだ。しかし、これが便利な機能であるのは間違いない。 好き勝手に画面の位置を変えても、ソフトが対応してくれるという訳だ。 ちなみに液晶そのものの性能だが、19型 SXGA、輝度250cd/m2、視野角水平/垂直178度、応答速度6ms、コントラスト比は1000:1である。高性能品と言ってよいだろう。 小売価格は89,800円。プレミアムではあるが、高額商品という設定ではない。 この製品が人気がでるかどうかは別にして、このような製品を上市する企業が今後伸びると思われる。 逆に、このような製品なら自社でも作れると眺めている企業は衰退していく可能性が高い。特に危険なのは、自社ブランドを高品質・高機能の象徴と考えていたり、ユーザーの機微をとらえた素敵な製品を出せると考えている企業である。 独断的な意見と感じられるだろう。 しかし、どこに知恵が投入されているか、よく考えて見るとよい。 繰り返すが、この製品の特徴は「設定ボタン無し」だ。 これは、構造設計や、機器形態の問題ではない。ソフトウエアで管理する仕組みに変えたことを物語る。 物理的なスペックではプレミアムがとりずらいから、デザインと使い勝手の訴求に力を入れているとも言えそうだ。 もっとも、大きな流れとしては、そんなことは誰でもわかっているだろう。部品を集めれば、結構なスペックの製品を作れる時代なのだから。 しかし、それは、頭でわかっているだけではないのか。 忘れてはならないのは、デザインと使い勝手が連関している点だ。そして、使い勝手とはソフトウエア技術で決まる。 これだけ書けば、何が言いたいかおわかりだろう。 設定ボタン無しとは、この機種はソフトウエア技術が優れていますよ、と伝えているのと同義である。見た瞬間、設定無しでもOKで、自分好みに変えられそうだとわかる。 これこそがデザイン能力ではないだろうか。 台とアームヒンジの設計能力とか、全体的にお洒落、といった類のデザイン競争ではなくなってきたと思うのだが。 --- 参照 --- (1) SyncMaster 970P-R [2005年9月15日発売] http://www.samsung.com/jp/products/monitor/monitor/970p.asp 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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