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2007.2.21
 
 


電力線でインターネット通信のヒットを見て…

 2006年、家庭内の100Vの電力線でインターネット通信ができる技術がようやく商用化された。(1)

 米国では、昔から使われているような技術で、特段、珍しいものではないが、日本ではこの手の技術は規制で使えなかったのである。

 機器をインターネット接続するには、部屋のなかを長々とLANケーブルで繋ぐか、無線のアダプタを使うことになるから、えらく厄介である。これが、100Vの電源コードをコンセントにさし込むだけネットワークに自動接続できるなら大助かり。

 そう感じている人は少なくないだろうが、家庭内で稼動している機器によっては、上手く働かないこともありうるから、それほど浸透しないと見ていたが予想が外れた。
 安価な機器でもないのに、売り切れ続出状態だという。(2)
 無線LANの3倍もの理論通信容量に魅力を感じた人が多いのかもしれない。

 それはともかく、家電機器が簡単にネットワークに繋がるようにするのに、鍵を握る技術ではないかと思うが、導入が遅すぎた。
 機器組み込み用の無線LAN用モジュールは大量生産の結果、すでに低価格を実現している。後から参入するのだから、このレベルにするのは至難の業だろう。

 もっと早く利用解禁していれば、安価にできた筈だし、それに伴って家電機器大変身のアイデア百出だったろう。大型ビジネスが勃興していたかも知れない。残念至極。

 ところで、この製品をテレビ組み込むつもりはないのだろうか。電話線やLANケーブル端子がついていても、さっぱり利用されないのは、接続が面倒という点も大きいと思う。

 もっとも、薄型大型テレビ市場の急成長に対応するので大忙しで、そんなことをしている余裕がないのかも知れぬ。
 ただ、いずれ、薄型大型テレビも飽和する。その先はさらなる高精度画面にする訳にもいくまい。新しいビジネスを検討するなら、電力線でインターネット通信は面白そうだが。

 そう思うのは、現在、インターネット網に繋いだテレビを使っている層は、ブロードバンド・サービス業者のアダプターを使っているからだ。おそらく、パソコンのヘビーユーザーである。
 家電が狙うべきリードユーザーとは違う。インターネット接続したテレビをこのリードユーザーに色々と使ってもらわない限り、新ビジネスのタネはなかなか見つからないのではないかと思うのだが。

 それに、ネットワークを介したサービスには様々な技術が必要である。早くタネを見つけて、それに合うような技術を集めないと、テレビは遠からず単なる映像モニター機器になってしまうのではなかろうか。
  家電機器の設計製造
   ・記録媒体
   ・当該機器のソフトウエア開発
   ・ハードとソフトの統合設計
   ・専用半導体設計製造
   ・ユーザーインターフェース設計
  ネットワーク管理
   ・インターネット接続サービス
   ・通信網サービス
  コンテンツサービス
   ・エンターテインメント創作用システム
   ・コンテンツ保護
   ・著作権管理


 --- 参照 ---
(1) http://panasonic.co.jp/pcc/products/plc/products.html
(2) 「松下“隠れヒット商品”が示す電力線通信市場の潜在力」 週刊ダイヤモンド [2007.1.20]


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