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2007.3.15
 
 


PHSユーザーの一言…

 小生は、未だにPHSユーザーである。そんな人は珍しいと思う。

 しかも、一番安価なサービスを選んでいるから、月額基本料金は2,000円以下。(1)昼間通話料単価は10円。
 かなり安価だから、とびつく人がいそうなものだが、そうはならない。ほとんどの人は、昔から、携帯電話の方を選ぶ。
 PHSは都市や住宅地域から離れると通じなくなるなど、カバーする地域は狭いからと言われているが、辺鄙なところで電話する用途など、そうそうあるものではなかろう。
 しかも、携帯電話“PDC”の音質はひどく悪かったのだ。

日本の独自規格の“PDC”は、どう見ても技術的に遅れていたが、携帯電話普及で先鞭をつけようと、通信企業は市場立ち上げに全力を振るったということ。・・・結局のところ、日本のほとんどの携帯電話メーカーは、グローバル競争力を失い、日本市場専用機器開発しかできないようになってしまったが。
  → 「次世代携帯電話開発のリーダー 」
(2000年9月2日)

 PHSの方は、当初は、携帯と違い、地下鉄駅構内やビル内でも電話が通じることが多く、結構便利だった。
 にもかかわらず、PHSは、携帯人気には及ばなかった。

 今でも当時を思い出す。

 なぜ、小生が携帯を避けたかと言えば、“PDC”でパソコン/PDAをインターネット接続しても、通信容量が余りに小さすぎたから。携帯を使わなかった理由は、これに尽きる。
 一方、PHSは、実感で、固定電話でのモデム通信とたいしてかわらなかった。
 始終、ファイルを送受信する人にとっては、PHSは必需品に近かったのである。
 しかし、通信企業は、携帯ビジネス立ち上げばかりに熱心で、PHSには力が入らなかった。

 結局、NTT DoCoMo はPHSサービス終了。(2)KDDIはPHSサービス事業を売却。(3)
 まあ、そうなるのは当然の流れではある。もともと、PHSは「つなぎ」技術だから。

 しかし、この「つなぎ」、日本では、極めて重要な役割を担っている。

 ISDNという巨大デジタルシステムを構築してしまったからだ。従って、不良資産としてこの巨額な設備を捨ててしまわない限り、使い続けるしかない。今のままなら、その機能をまともに使わないうちにゴミとして廃棄することになる。
 まさに、“モッタイナイ”話。少しでもISDNを使おうというなら、PHSしかあるまい。

 小生、実は、固定電話回線はISDNである。
 と言っても、光ケーブルに繋がる100MのLAN、地域のCATV回線も引き込んでいるから、このデジタル回線の意義はゼロ。アナログ回線でかまわないのだが、もとに戻すのが面倒なので今もって使っているだけのこと。不良資産の典型と言えよう。

 PHSとは、ISDN回線で、小さな無線基地局を繋ぐ仕組みだ。無線基地局といっても、家庭内のワイヤレス電話の親機の出力を上げたようなもの。こなれた技術を使っているから安定しているし、安価な筈である。
 ISDNの設備をすぐ捨てることはできないのだから、PHSを使わない手はなかろう。

 こんなことをわざわざ語るのは、CATV用同軸ケーブルにPHS無線基地局を設置する試験が成功したからである。(4)
 CATVケーブルが設置されている地域は、全国津々浦々まで広がっている。簡単にPHSカバー領域を広げることができる筈である。
 言うまでもないが、電話ではなく、インターネット接続を中心にした仕組みに変えることもできる。そうなれば、様々な利用が進むかも知れない。
 なにせ、インターネット接続スポットは、未だに場所が限られているし、利用料も安くはない。PHSにその役割を担ってもらってもよいのである。

 --- 参照 ---
(1) http://www.willcom-inc.com/ja/plan/phone/daytime/index.html
(2) http://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/060131_00_m.html
(3) http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0621/index.html
(4) http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2007/03/12/index.html


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