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2007.7.5 |
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半導体産業の激動が始まる…2007年6月、松下電器が「世界初、45ナノ メートル システムLSIの量産を開始」と発表した。(1)現在の最先端は65nm。これが45nmになれば、チップ面積は約半分になるから、1枚のウエハから倍の数のチップがとれることになる。 素人でもわかる生産性向上の数字だが、45nmは今迄とは違う。膨大な設備費用が必要になるからだ。 例えば、液浸露光装置はコア部分だけで10億円を越すだろう。 従って、大量需要を抱えるリーダー企業でなければ、おいそれと手出しができない。45nm工場建設に挑戦できる企業は世界でも限られよう。 インテルのように、CPUの生産量が膨大な企業は、この波に乗り、一気に地位強化を図ることになる。45nm化でQuad core化と電力消費量の削減を進めることになろう。(2) しかし、液浸露光は32nmかららしい。従来型のドライ露光で対処するようだ。と言うと、先端をあえて避けるヘジテーション・ストラテジーと間違いかねないが、全く逆。トランジスタ密度をあげるため、材料技術の大転換を図っているからだ。 従来の材料では薄膜化の限界に来ており、リーク電流を下げられないため、高密度化が難しくなっていた。そこで、45nmでは、ゲート絶縁膜を高誘電率の新材料に変更する。それに合うようにメタルゲートも導入する。 言葉では簡単だが、材料が一変するのだから、今までの製造プロセスでのスキルは役に立たない。 当然ながら、これが成功すれば、圧倒的な競争力を発揮できることになる。(3) 早い話、半導体技術標準はインテルが作るということになる訳だ。 この動きが象徴するように、45nm化とは、半導体産業の結節点を意味する。 おそらく、産業構造は大きく変わる。 例えば、ソニーはPS2では、膨大な量の半導体を生産してきた。その間、チップの高密度化により大幅なコストダウンを実現してきた筈である。しかし、PS3の「Cell」では同じ路線は無理かもしれない。PS3以外の需要がほとんど無い状況で、2社で製造を分担したら、45nm化でペイする規模に達しないかも知れないからだ。 それでは、松下電器なら確実にペイするかといえば、こちらもなんとも言い難い。 Panasonicの2007年第1四半期のプラズマテレビの出荷台数は66万台(市場全体230万台xトップシェア28.9%)と見られている。この規模では、現行の仕組みでは高密度化によるコストダウンが可能だが、45nmでは投資額が巨大すぎて、コストダウンは難しいだろう。(4) しかし、それでも踏みきるということは、家電産業で地位を守るためには、こればかりは躊躇できないということを意味している。 松下電器の収益が急回復してきたのは、半導体事業の戦略が的確だったからだと思うが、その感覚で家電産業を眺めると、これしかないということなのだろう。 この見方が当たっているなら、松下電器は不退転の決意でテレビやレコーダーの生産量を急増させるしかなかろう。簡単ではないが、それに成功しない限り競争力は向上しないということだ。 ちなみに、第1四半期の液晶テレビの市場は1450万台と1桁上だ。こちらの市場のリーダーなら、45nmでペイする生産量を確保できるのである。 --- 参照 --- (1) http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn070619-1/jn070619-1.html (2) http://www.intel.com/technology/silicon/45nm_technology.htm (3) Paolo Gargini [Director of Technology Strategy, Intel Corporation]の見解 [interviiew-Audio] http://www.reed-electronics.com/semiconductor/article/CA6416925 [Paper] http://www.future-fab.com/authors.asp?a_id=2337 (4) http://www.displaysearch-japan.com/release/2007/05/r25.html 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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