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2009.12.24
 
 


冷凍技術をふと考えてしまった…

 “凍結しても細胞が破壊されず、解凍後に鮮度が生き生きとよみがえる”(1)技術がすでに完成している。

 素人にもわかる、簡単明瞭な理屈。
 氷の結晶を作らずに、過冷却ガラス状態にしておき、化学反応が全く進まない温度まで下げれば、細胞構造は何時までも保たれる。温度を元に戻せば復活してくるというだけのこと。

 冷凍技術は、ついにここまできたか感がある。
 残るのは、揮発芳香成分を保つ技術か。

 こうなると、近場の新鮮な食材より、遠くても質の高い冷凍品が高価なものになるかも。 交通不便な地域の農林水産業や加工食品業の方が優位に立つ時代が来るかも。
 などと思っていたが、意外とこうした動きは鈍い感じがする。
 それこそ本気で家庭用機器を売り出す位の動きもあってもよさそうに思うが、耳にしない。

 もっとも、表に出なくても、海外の水産物をこの技術でなんとしようという動きは活発だろう。色々な取り組みがあるだろうから、下手にとりあげられて、資源漁りと指弾されなければよいが。
 ともあれ、いかにも、日本から市場が開けそうな分野である。
 米国は革新的な技術でビジネスを興すことが好きな文化はあるが、肉調理ならよいが、この手の新鮮感での訴求は難しそうだ。なにせ、大雑把な味が気にならない人が多いし、好みがバラバラだ。
 米国では違った方向に進むのだろう。
 食品の話から、急に跳んで恐縮だが、人体冷凍保存(Cryonics)用(2)に矢鱈と力が入るのではないか。

 一般人にとっては、凍結臓器の移植技術開発が進んで欲しいところだが、違うかも。先の話が好きなお国柄だから、遺体の冷凍保存技術向上に向かうのではないか。
 ご存知のように、だいぶ前から、死亡宣告直後に死体を処理し、不凍液を注入してから、液体窒素温度で保存する仕組みができあがっている。

 人工心肺装置を使えば、物理的に全身の細胞を生かすことは可能だから、細胞修復技術が実用レベルに達した時に、人体改造すれば蘇生可能という理屈である。
 遺体の遺伝子からのクローン再生とは違って、脳の記憶を残せるから、西海岸的風土だと受け入れられる話なのかも。莫大な資産があるから、脳だけでも残しておくか考える人も少なくないのだろうか。
 すでにそんなサービスを提供している組織が6つもあるそうだ。(3)と言っても、その件数が爆発的に増えている訳ではないが。(4)

 ただ、脳のような構造や機能がよくわかっていない組織を、冷凍状態から蘇生することがそう簡単にできる訳はなかろう。我々が生きているスパンでは、SFの世界が実現するとは思えない。
 後代から見れば、A.D.2000年のミイラ信仰とされかねないのでは。

 --- 参照 ---
(1) “CASとは?” (株) アビー
   http://www.abi-net.co.jp/pro_cas.html
(2) “What is Cryonics?”Alcor Life Extension Foundation
   http://www.alcor.org/AboutCryonics/index.html
(3) “Existing Cryonics Organizations” Cryonics Institute
   http://cryonics.org/comparisons.html#Existing
(4) “Complete List Of Alcor Cryopreservations
  ” http://www.alcor.org/cases.html


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