→INDEX ■■■ 魏志倭人伝の読み方 [2019.1.16] ■■■ [16] "倭"考 「魏志倭人伝」での"倭"の扱いはこんな感じ。 倭人="魏の時代"の日本列島の倭種 邪馬壱国=倭種最大の国"やまと" 女王国=200年頃の倭種30ヶ国の連合国の俗称 倭国=大陸東端の東夷に分類される列島国 甲骨文や金文に「姀」はあるが、「倭」は見つかっていないようだ。"倭人"以外の用法は無いようだし、"委"の人ということで、わざわざ作った文字と考えるしかあるまい。(左は白川フォントの篆文。) このことは、ワは自称だったことを意味する。 「漢委奴国王」印の"委"は原義に忠実なのだろう。匈奴、胡奴、委奴といった命名。 倭・・・ワ ヰ(南方) ウェイ(北方) 委/姀=禾+女・・・イ/ヰ ゆだねる/まかせる 倭は"わ"であって、それを"やまと(邪馬壱)"と読ませるのは当て訓である。大和は2文字化で生まれた後世の大倭の好文字変換。 制、畿内七道諸国郡郷名著好字@和銅六年[713年]「続日本紀」 和[口+禾]=龢=咊⇒[平仮名]わ [呉音]ワ・・・百済人が伝えた中国南方系の読み方。 [漢音]カ・・・鎮護仏教伝来に伴う中国北方文化圏の読み方。 [唐音]オ・・・鎌倉時代 禅僧が伝えた江南浙江地方の読み方。 ⇒[梵語音訳]ワ カ/クヮ オ/ヲ 【和上】 律宗・・・ワジョー 【和尚】 法相宗・真言宗・浄土真宗・・・ワジョー 天台宗・華厳宗・・・カショー 禅宗・浄土宗・・・オショー [特例とされている読み方] と…大和(やまと)←大倭(やまと) に…和栲(にきたえ)・和毛(にこげ)←熟(にき)/柔(にこ) め…和布刈(めかり)←若布刈(わかめかり) _…和泉(いずみ)←2文字化 [訓]やわらぐ/やわらげる なごむ/なごやか あえる なぐ/なぎ 倭は「魏志倭人伝」以外でも登場するので見ておこう。 【倭人】@王充[27年-n.a.]:「論衡」巻十九恢国篇第五十八 成王(周代:B.C.1115-B.C.1079年)之時、 越常(=越裳)獻雉、倭人貢暢(=鬯艸)。 鬯艸はリキュール用薬草。[→「酒器と由来」] 越裳は交趾(ベトナム北部)の南に位置する越南。遠路貢ぎ物があったということ。倭は百越の一つと見ることもできないことはないが、同様に遠路渡来してきたと記述しているのだから、海の向こうの人々を指しているのでは。そうでなければ、わざわざ新規な文字をあてる必要があるとは思えないし。ここのポイントは、特別高貴な珍品が献上された点。雉とは、奇跡的に発見された白色アルビノあるいは白鷳/白雉だろうし、草はほとんど入手不可能と言われていた長命薬草ということでは。 交易のチャンスを得ようと、周王朝を訪問してきた訳で、倭とは黒潮海人を指していると考えてもよいのでは。 隋・唐代も。 【俀國】@「隋書」卷八十一 列傳第四十六 東夷 開皇二十年[600年], 俀王姓阿毎,字多利思北孤,號阿輩雞彌,遣使詣闕。・・・ 大業三年[607年]・・・ 其國書曰「日出處天子至書日沒處天子無恙」云云。 見慣れない文字が使われているが、記載事項は倭国である。 俀 [音]タイ テ [訓]よわい(=弱) 「隋書」は、唐代になってから散逸した書を編纂したもの。「舊唐書」と同時期だから、誤字ならその旨の注が入ってもよさそうなもの。そもそも、専門家が文字を間違う訳がないが。恣意的な文字変えとすれば、外交関係が険悪だった可能性もあろう。 この頃は倭国の正統な代表が曖昧だったのかも。突然、自称、日本国代表と称され、混乱したようだ。 【倭國】&【日本】@「舊唐書」卷一百九十九上 列傳第一百四十九上 東夷 日本國者,倭國之別種也。 以其國在日邊,故以日本爲名。 或曰:倭國自惡其名不雅,改爲日本。 或云:日本舊小國,併倭國之地。 其人入朝者,多自矜大,不以實對,故中國疑焉。 又云:其國界東西南北各數千里, 西界、南界咸至大海,東界、北界有大山爲限, 山外即毛人之國。 尚、「古事記」では倭国はヤマトを意味しているようだ。このことは、中華帝国のワ国とは、ヤマトを指すと判断していることになる。 ●大国主命 又 其~之嫡后須勢理毘賣命甚爲嫉妬故 其日子遲~和備弖 自出雲將上坐倭國 而 束裝立時・・・ ●坐御諸山上神 爾 大國主神曰 然者治奉之状奈何 答言 吾者 伊都岐奉 于倭之青垣東山上 此者 坐御諸山上~也 ●倭建命 爾 其熊曾建白 信然也 於西方除吾二人無建強人 然於大倭國 u吾二人而建男者坐祁理 是以 吾獻御名 自今以後 應稱倭建御子 ●大長谷若建命 幸阿岐豆野・・・歌曰 ・・・ 蘇良美都(空見つ) 夜麻登能久爾袁(ヤマトの国を) 阿岐豆志麻登布(秋津洲と云) ●大長谷若建命 天皇登幸葛城山之時・・・ 天皇望令問曰 於茲倭國 除吾亦無王 ・・・ 葛城之一言主大~者也 (C) 2019 RandDManagement.com →HOME |