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■■■ ジャータカを知る [2019.3.25] ■■■
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[カワウソ]は、「月の兎」で有名な兔本生譚[#316]で兎 猿 ジャッカルと共に登場する。そこでは、あくまでも兎の気高き行為にハイライトがあてられ、魚獲り生業者が真面目にお布施する様子が描かれているだけ。

この獺だが、その生態はよく知られていたようである。そんな話が収載されている。[#400]

妻が新鮮な魚を食べたいというので、河に行く夫の話が収載されており、結構、鋭い観察が見て取れる。

獺は、家族生活者であるが、狩猟となれば普通は単独行動である。子供は別だが、獲物は自分だけで食べてしまう。
しかし、時に、妻あるいは愛人かよくわからぬが獲った魚を進呈していることもあるからだ。

この話では、単独では獲れないほど大きな魚をとるため2匹で協力する姿が描がかれているが、実際にそのような行為を見かけることがある。家族のなかでは、大切にされる順位が決まっているだけのこと。
家族で魚群を追い詰めて獲り易くするといった方法が採られることもあり、それなりのルールができあがっているのだ。もっとも、正確には直系血縁家族だけでなく仲が良い個体が参加していることもあるから、(突然、群れから排除されることもある。)縄張りを持つ一団だが。

獺の習性はなかなか面白く、時に、獲った魚をすぐには食べないことがある。跳ねて逃げないように噛んで息の根は止めるのだが、そのまま並べていたりする。

日本人にもおそらくそんなことは常識だった時代があったのである。
それに気付かされたのが、「獺祭」という言葉を知ったから。日本酒の名前にしては、ナンダカナということで調べたからである。

この話では大きな一尾の魚を巡って分配をどうするかになるのだが、そこに裁定者としてジャッカルがやってくる。
そうなのである。ジャッカルは漁が成功すると登場する輩なのである。肉食だから獺を襲いそうなものだが、(但し、獺の子供は餌となる。)そうはせずに近くをうろついて魚を横取りするのが普通。下手なことをすると群れ全体からの反撃を喰うからだろう。

獺は、動物分類では、もちろん肉食類であり、猫系と犬・熊系の2大分類では前者に属する。
インド辺りに棲息する近縁種は以下の通り。
 ●小爪川獺[カワウソ]/亞洲小爪水獺Asian short-clawed otter
 ●黒鵞絨[ビロード]川獺Indian smooth-coated otter/江獺
 ●ラーテル[蜜穴熊]Ratel or Honey badger/蜜
 ×鼬[イタチ]Weasel/鼬 or 貉
 ×レッサーパンダRed panda/小熊猫

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