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■■■ ジャータカを知る [2019.3.28] ■■■
[18] 糞虫
糞虫とは糞に群がる甲虫。ほとんどの人は、甲虫は知っていても糞虫は見たことがなかろう。
  ●糞虫(食糞性黄金虫)Dung beetle/

何故に、そのような糞食蟲[#227]を題材にする必要があるのかはよくわからない。まさか、糞で輪廻観が生まれるとも思えないし。

ただ登場する話は単純。
旅人たちが立ち去った後の宿場は糞だらけ。滅多に家にトイレがないのだから当然だ。
酒もちらかっており、糞虫は水と思って飲んで酔っぱらってしまい、それから糞の山に登る。すると糞が沈む。
そこに、たまたま象がやって来る。ところが、あまりに糞臭が酷いので後ずさり。
それだけのことだが、糞虫はそうは考えない。
大地は偉大な虫を支えることができなくなり、あの巨大な象さえも私の姿を見て恐ろしくなってしまった、と。

言うまでもないが、ヒトの糞は汚物だが、牛の雲は貴重な燃料。お蔭でインドの糞虫は、ヒトの側で生活するならヒト糞を当てにすることになる。おそらく豚と取り合いであろう。

フンコロガシと言えば古代エジプトのスカラベが超有名。太陽光を反射して光輝くから当然聖なる虫であり、そこらを知って取り入れたのかも。
インドでは太陽の恵みとの発想はないから、信じ難き信仰だったに違いない。大半の地域では燦々と輝く太陽の下での仕事などとてもできるものではないのだから。

・・・と思っていたが、"甲虫になった王妃"という阿薩迦王譚[#207]もあるのだ。
王妃逝去に諦めきれず遺体を棺に納めて土を入れ寝室に安置・気分も沈んだママ。それを知り仙人が訪問し、妃は甲中に転生と。王は信じ難しと。そこで、仙人は、甲虫を呼ぶと二匹が飛んできて語る。前世に意味などなく、今、連れだっている生活が大切と。王は立ち直る。

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