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■■■ ジャータカを知る [2019.3.31] ■■■
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鶴は、避寒のためユーラシア大陸北方から、北アフリカ アフリカ北東部+ヨーロッパ南部〜インド北部〜中国南部に渡ってくる。

当然ながら、インドと日本では渡来種は相当に違う。
  ●黒鶴Eurasian crane…ユーラシアでは一般的なツル
  ●姉羽鶴Demoiselle crane…小型だけあってキルギス辺りからヒマラヤ越え
  ●大鶴Sarus crane…最大の鶴
  ●袖黒鶴Siberian white crane…シベリア繁殖
  ●尾黒鶴Black-necked crane…3000m以上の高地棲

日本で縁起の良い鳥といえば、先ずは鶴だが、仏教ではそれほど重視されてはいない。西方浄土で囀る鳥ではないのだ。[鳩摩羅什[訳]:「仏説阿弥陀経」]
  彼國常有 種種奇妙 雜色之鳥
   白鵠
(白鳥)・孔雀 鸚鵡・舍利 迦陵頻伽 共命之鳥
  是諸衆鳥 晝夜六時 出和雅音

もっとも、本邦版の源信:「往生要集」では鶴が登場する。
  鳧(鴨) 雁 鴛鴦 (鵜) 鷺 鵞 鶴 孔雀 鸚鵡 迦陵頻伽

但し、クラウンチャkrauñca=帝釈鴫であるとの専門家の記載も見かけるので、原本記載や翻訳(種の同定)は確実なものではないようだ。小生は鷺系は鳴き声の点でこのようなリストからは外れ、鶴が入ると見る。
そう考えると、クラウンチャはおそらく、白襟大鶴Indian Sarus Crane[Julia Leslie説@1998年]であろう。

先入観があるので、鶴の民話とくれば、先ず間違い無く悲しくも美しい話と思ってしまうが、ジャータカ[#279]を読むと、豈図らんや。・・・
行手をジャッカルが遮るので追い払ったが、それは息子を心配する亡き母親。逆に、幸運の鳥と思っていた鶴が飛んできたので大喜び。ところが、その鳥が、木の洞に潜む盗賊に殺人強盗をそそのかす。

もしかすると、パーリPali語では啄木鳥系の鳥ではないかとも思うが、ズブの素人が口を挟めるものではない。もっとも、男はジャッカルは頭から凶と決めつけると同時に、当たり前のように吉の鳥と見なしているから鶴と考えるしかないが。

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