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■■■ ジャータカを知る [2019.4.1] ■■■
[22] 印度狼
印度狼はの絶滅は時間の問題ではないかと思われるが、古代の棲息数は半端なものではなかったろう。
分岐分類でみると以下のように考えられているようだが、この先も紆余曲折が有りだろう。ともあれ、犬が狼の家畜化動物であるとの説自体は揺るぎがないように見えるが、素人から見れば、犬の出自は今もって曖昧模糊のママと言ってさしつかえなかろう。
┌────ドールDole or Red dog/豺@高山草原/山地疎林
┤┌───金色ジャッカル"common" Jackal/犴/野干 or 豺狼
└┤┌──ヒマヤラ狼/チベット狼
└┤┌─印度狼/伊朗[イラン]Indian wolf
┼┼└┤┌[絶滅@ユーラシア北方棲息]灰色狼系
┼┼┼└┤
┼┼┼┼野犬/家犬Domestic dog
上記を狼でまとめると《大陸狼》となる。
  [極北]北極狼
  [ユーラシア]ヨーロッパ狼…3グループ(黒海〜カスピ海〜中央アジア+中国+北方)
  [絶滅@日本]日本狼
  [青海/西蔵]ヒマヤラ狼/チベット狼
  [インド西+ペルシア+西アジア]印度狼/伊朗狼
  [アラビア半島:主に南部山岳地帯]アラビア狼

実は、犬族の系譜に関心があるからまとめてみたのではない。インドに住む野犬、印度狼、金色ジャッカルの3種の繋がりに注意を喚起したいと思っただけのコト。
このなかでは、印度狼の社会的生態だけが違うように映るからだ。つまり、インドの犬はジャッカルの方に似ているということ。もちろん、素人の大雑把な印象に基づく見方であり、それ以上の根拠は全くない訳だが。

その印象を強くしたのがジャータカの狼譚。[#300]
ガンジス川が洪水の時、岩山にいた一匹の狼が、これは当分餌無しになるなと覚悟。断食行を始めた。軽薄な決意と見た帝釈天が羊になって挑発すると、すぐにとびかかってきた。失敗してしまったので、又、致し方なく断食行に戻る。そこで、帝釈天は説諭。

ソリャ、狼の野性的本能だろう。それを思想で止めようとの考えには無理があり過ぎる。それでは、ヒトの本能的行為とは何なのか見ておかねば同じことが発生するゾとなる訳で、そこらの表だった追求をしないでできる限り抑制するのが本流の宗教で、本能的行為を礼賛し始めればカルトとなる。多くの人は言われなくても、両者の溝は深いことに気付いているが、なかには全くわからない人もいる。

話が脱線したが、この話に登場する狼はハグレ者である点に注意が必要だろう。群れで生活する動物であり、異端的な行動をしたり、序列を乱す輩は、パージされるから、岩山に一匹でいるというのはその手の個体であり、かつて群れの王者だった可能性が高い。
従って、本来的には、肉食なので殺戮せざるを得ない宿命を悔いて、孤高の狼として死んでいく話に仕立て上げそうなものだがそうはいかないのである。

狼は、日本では大神扱いだが、一早く退治してしまった。神を意図的に殺したというより、祟りを懼れて敬っていると見た方がよかろう。家畜はもちろんヒトをも襲う野獣だから、併存は致しかねるのだ。
インドは表だった殺生を嫌うとはいえ、このような野獣は流石に放置しておく訳にもいかないようで、敵視しているのは間違いない。ただ、それが大規模公然化したのはおそらく植民地時代だろうが。
リグ・ベーダやマハーバーラタでは、邪悪な動物として登場する話があるそうだし、クリシュナKrishnaが自分の頭髪から数百匹の狼を創って住民を怖がらせて移住させたりする話も知られていると言う。[Harivamsa文献§52]

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