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■■■ ジャータカを知る [2019.4.29] ■■■
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熊は一応登場することはするが、はたして本当に登場させたかったのかのかはよくわからない。
インドの熊は猛獣という印象は薄く、そうそう出会うこともないらしいから。
  ●怠熊Sloth bear/

あえて登場させたとすると、それは日本の熊のイメージとは違う可能性もあろう。

すでにとりあげたように、ジャータカの「月の兎」譚[#316]で登場するのは、兔 猿 ジャッカル 獺だが、手塚治虫の漫画[「ブッダ」@1972-1983年]では、兎 狐 熊となる。[→金色ジャッカル]
インド流では、ここは怠け者の熊ではアカンのである。ずる賢さもありながら、性根を入れ替えて供養もする動物でないと、ただただ真面目一方の兎との対比にならないからだ。

さて、その熊登場譚だが、熊の性情がモロ語られていると言えないでもない。

[#490]"五者布薩會譚"・・・
賢者が住む近くに棲む4種の動物は時々訪問してはお話をきいていた。
 ・竹藪に棲む森鳩"common" Wood pigeon/斑尾林鴿
 ・蟻塚に棲む蛇
 ・灌木の茂みに棲むジャッカル
 ・それとは別な場所に棲む熊

鳩は仲間の鶏と餌探しに。鳩の後に続いた雌鶏は鷹に拉致され、叫びもむなしく殺されがとがつと食われてしまった。雄鶏は愛の炎で燃え盛ってしまった。

蛇は食べ物を求め穴から出て牛舎へ。牡牛におびえていたが、踏み潰されそうになり牛を噛んで殺してしまった。

ジャッカルは食べ物探しに行き、死んだ象を発見。貪欲なので、体内に入り好きなだけ鱈腹食べた迄は上首尾だったが、皮が乾燥して硬くなってしまい抜け出られなくなってしまうのである。マ、どうにかこうにか逃れることができたのだが。

熊は森から出て、どうしても村に入り込みたくなった。ところが見つかってしまい、武装した村人総出の撃退行動で傷ついてしまった。
北海道棲息の羆はヒトに遭遇すれば襲って食い散らかす猛獣。しかし、余程の事態に直面しない限り村落には来ない。それは、経験から学んだということかも知れぬが。一方、本州棲息の月之輪熊はヒトが天敵なので恐れるものの突然出会えば襲うことが多い。それなら、ヒトの臭いを避けそうなものだが、結構人家にやって来る。
山に餌が無くなったからとの解説が多いが、遊びがてら見物しているようにも思える。日々遠くまで歩き回るのが好きな動物でもあるし。甘いモノに目がないから、チャンスを探っているとの見方もできるかも。

ついでにと言う訳でもないだろうが5ツ目としての行者話もあり、こちらの問題は当然のことながらご慢心。

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