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■■■ ジャータカを知る [2019.4.30] ■■■
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🐜ジャータカに蟻譚は無いが、蟻が使われる話があるので触れておこう。

[#497]賢者マータンガMĀTAṄGA/摩登伽本生譚だが、その概要はこんなところ。・・・
アウト・カーストであるチャンダーラ/旃陀羅出身のマータンガ青年は賢者として知られるように。富豪の娘はその姿を見て、せっかく都城に来たのに帰宅。お供の者達は腹を立て青年を袋叩きに。そこで、その娘の家の門前に七日間居座った結果、人々は娘を与えることにした。その後、青年は出家。妻となった娘は夫を大梵天と言うように。

ここに蟻が入る余地はない。

ただ、ジャータカのそれぞれのお話は前段・中段・後段の3部にわかれていて、「本生譚」と言えるのはそのうちの"中段"。
そこは、「昔々〜Once upon a time,…」で始まる。上記の筋はこの箇所。
後段とは、謂わば「解題」。意義を簡潔に示し、菩薩(釈尊)の前生がこの話の誰なのか、そして他の登場者が後生の誰にあたっているか明かされる。
当然ながら、前段部は、この話を始めるに当たっての枕。現実に発生した事件に簡単に触れ、その因縁を釈尊が解説し始める由縁が記載されている。説法の場の雰囲気も描かれている場合が多い。
この前段部に赤蟻がでてくるのだ。

前生、王国を治めていた長老は、昼の休憩に世襲で地位を得たウデナUdena王の御苑に行って瞑想にふけることにしていた。
たまたま、7日間深酒浸りだった王が御供を引き連れて御苑に入って来て、沙羅樹の下で眠ってしまった。そのうち腕枕が揺れて目覚めると、皆が長老の周りに座っていた。王は怒りがつのり罵倒。
「こ奴を赤蟻Red ant or Fire ant/火蟻にむさぼり食わせてやる。」
怒りにまかせ、赤蟻満載のバスケットを長老の体の上で破かせたのである。長老は空中で立ち上がり、王を戒めることになる。

この手の蟻は動物を噛む。過敏症だと死亡することも。そこまでいかなくても、火傷のような疼痛に襲われ水疱だらけに。
蟻を集めて経済活動に使用する話は聞いたことがないから、蜂蜜を塗り動けなくしてから蟻を放つ処刑が行われていたのだろう。

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