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■■■ ジャータカを知る [2019.5.7] ■■■
[58] 岩鷓鴣
岩鷓鴣はポピュラーな鳥である。シャコと言えば蝦蛄しか知らない人だらけだし、写真を見たりすれば小綬鶏の一種かということで関心を持つ人も少ないようだが、おそらくそれは日本だけ。

インドの代表的な種はこんなところ。・・・
  ●岩鷓鴣Chukar partridge/石@ユーラシア高地広域
      (イベリア半島⇔華北:含インド北部[カシミール,パンジャーブ等])

  ×灰色岩鷓鴣Rock partridge/欧石鷄@西アジア〜欧州
  ▲姫岩鷓鴣See-see partridge/(沙鶉系)@中央アジア(一部インド北西部)
  ●鷓鴣Chinese francolin/中華鷓鴣@中国南部〜東南アジア〜インド

ジャータカの譚題になっているパーリ語のTittiraはPartridgeとされており、岩鷓鴣と見てよさそう。サンスクリット語"Chukar"(ウルドゥー語"Chakhoor")という名称は、鳴き声が矢鱈に大きいところから来ているようだ。群れる鳥だが、飛翔より走る方を好むので、鳴き声で互いの存在を確認する必要があるのだろう。いかにも捕まえ易そうな鳥である。

比較的乾燥した灌木〜草原〜岩石露出地といった開けた丘陵地に多く棲む。インド北西部の高地畑作地域では一般的な鳥であろう。
(クルド@イラク、パキスタンでは国鳥扱い。地域的に月信仰の地であり、月と岩鷓鴣の神話があるようだ。)
鶏より肥えて身が締まっていそうだろうから、岩鷓鴣の肉はこの辺りでは大人気な筈である。("肥小雉+肥大鶉"という味だろう。)追いかけ続ければ走り疲れてしまうので、特別な道具などなくても根気さえあれば捕獲できるし。従って、習性的に半家畜化も可能な感じがするがどうなのだろう。
(尚、植民地時代、英国人はこの肉を好んではいなかったようだ。)

鷓鴣本生譚Tittiraは4本。・・・
[#37]猿 象 鴣譚で、年長者決め。
[#117]大声のせいで猟師に殺される。(大声修行者が殺された。)
[#319]一羽を囮として森へ持っていき、鳴かせ群れが集まったところで一網打尽にする鳥刺しがいた。余りに心苦しいので、鳴くのを止めたところ、鞭打ちにあい耐えられず再び鳴いてしまうことに。
[#438]高名な教授が森に入って弟子に教えるようになった。そこに、蜥蜴、獅子、虎、鴣譚も入り込んだ。教授逝去後、若い婆羅門に一番の賢者である鴣譚が教えることになった。ところが、都会に出かけたので入れ代わりに邪閣な自称苦行者が入ってきて、動物を食べてしまった。虎は殺したことを知り、獅子のとことに連れて行くと、悪人は死に値するの処断。

鷓鴣Tittiraの題名ではなく、"Kakkara"なのでJungle cockを意味しているが、この項で取り上げておこう。
  ●灰色野鶏Grey jungle-fowl/灰原@インド 赤色野鶏Red jungle-fowlの類縁種
[#209]年老いた賢鳥が、捕獲しようとデコイや道具を持ってやってきた鳥刺しから、バタバタと飛んで逃げる。罵倒して去っていった。

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