→INDEX ■■■ ジャータカを知る [2019.5.14] ■■■ [65] 海豚 ただ、Porpoiseが使われている場面は河川なので、海棲である鼠海豚やスナメリを当てるのは不適当であろう。ここでは、鯨類に引き続いて海棲哺乳類を取り上げておきたい。 河馬類の遠戚であるローラシア由来哺乳類のこと。 インドの代表的な種はこんなところか。・・・ --- ●熱帯真海豚Arabian "common" dolphin/印度洋長喙真海豚 ●半道海豚Bottlenose dolphin/ェ吻海豚 ●南半道海豚Indo-Pacific bottlenose dolphin/東方ェ吻海豚 --- ×鼠海豚Harbour Porpoise/鼠海豚@冷涼な沿岸域(北半球寒帯) ●砂滑[スナメリ]Finless porpoise/江豚@沿岸域(南アジア〜東南アジア〜東アジア) ・Narrow-ridged finless porpoise/窄脊江豚@日本辺り --- ●河巨頭Irrawaddy dolphin/短吻海豚@ベンガル湾〜東南アジア河口海域 (淡水棲息ではなく海水側) --- ●鯱[シャチ]Orca/虎鯨[⇔6-8m]…冷水帯中心だがアラビア海にも棲息 --- ジャータカは南伝なので、こうした海の生き物が記載されない筈無しと見ているが、それはまるっきりの想像という訳でもない。 魚の王はモンスターだというのである。そして、そのモンスターは常識的には淡水棲ではなく、海水棲だろう。 王としては、先の「鯨」か上記のうちの一種が一番の候補と言ってよいのでは。・・・ 何回か取り上げた話だが、[#32]舞踊譚[→孔雀]。その導入部で、王が選ばれている。 四足動物は獅子。 魚はモンスター魚"Ānanda"。 鳥は金色真鴨Golden Mallard。…ハンサのこと。 (粗筋は、《鳥の王たる金の真鴨の娘が夫として選んだのは孔雀。嬉しさで裸踊りをしてしまいビックリさせる。謙虚さを欠くとされ破談に。夫は若い真鴨。》というもの。) これだけの記述では、"Ānanda"がどういう生物かさっぱりわからぬが、モンスター魚は他にも存在しているから、多分、鯨か鯱だろう。 出所は[#537]大須陀須摩譚である。 この話では驚くことにカニバリズムを題材にしている。ストーリーとしては、人肉喰中毒になった王が、民を殺しており、それがバレたというに過ぎない。結構な長文なのでこれ以上は記載しないが、詩もかなりの分量になっている。 (街に出て師の命令に従い町で人々を次々と殺し、100人分の切り取った指を揃えようとしていた釈迦の弟子アングリマーラ[指鬘]Angulimala/央掘摩羅の意趣説明でもある。) ここに、6種のモンスター魚が登場する。・・・ Ānanda Timanda Ajjhohāra Tītimīti Miṅgala Timirapiṅgala Ānandaが筆頭であり、なかには藻食性モンスターもあるようだから、それは砂滑Finless porpoiseのことだろう。ウエブにはパリー語の情報が少ないので残念ながらこれ以上はわからない。 哺乳類ではないが、【軟骨魚-鮫類】もモンスター扱いだろうか。 ●姥鮫Basking shark/姥鲨 or 象鮫 ●甚兵衛鮫Whale shark/鯨鲨 ●撞木鮫Hammerhead shark/双髻鲨 ●頬白鮫Great white shark/大白鲨 ●メガマウスMegamouth shark/巨口鲨 ●鼬鮫Tiger shark/鼬鲨 ●真尾長"common" Thresher/長尾鲨 →ジャータカ一覧(登場動物) (C) 2019 RandDManagement.com →HOME |