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■■■ ジャータカを知る [2019.5.17] ■■■
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鯰はよく知られた魚だが、日本では未だに食用としてはマイナーな地位に甘んじているし、棲息種も少ないので関心の対象ではないようだ。

しかし、インド亜大陸ではとてつもなく種類が多いし、食生活と密着に係ってきたようだ。

ジャータカ英訳では、Catfishは登場しないものの、まず間違いなくソレと思われる魚が登場する。・・・
[#75]魚族譚
旱魃に襲われて、作物は枯れ、地域の水瓶も底をついた。魚や亀は泥に潜ったが、烏等の鳥の啄ばみ放題の状況。
一族郎党を救わねばということで、魚の王が天の神々の王、雨雲神Pajjunnaに誓願。大雨がもたらされ、危機は去ったが、魚王はその報いとして命を閉じることになる。

これだけでこの魚を鯰と見なすのは強引すぎるように見えるかも知れないが、その姿が描かれているのだ。・・・
 あたかも、洗眼液[collyrium]で塗布された白檀製小箱の様で、
 泥で真っ黒になった偉大な魚。

それに、降雨祈願となれば鯰以外に考えられないと見る。もちろん、その性状がピッタリと当て嵌るから。
簡単に記載しておこう。

鯰は基本底棲の肉食魚である。網で捕獲などおよそ現実的ではない。(非肉食の例外種もいるらしいから、一概に言う事はできないかも知れぬが。)
しかし、そんなところに居続ける訳ではない。氾濫を待つ魚なのである。と言うのは、産卵環境は浅底の砂泥だからだ。温度もあるが、大雨が期待できない寒帯域には進出していないのである。
釣り師に聞けばすぐわかるが、鯰釣りは降雨時が一番。つまり、少しでも氾濫しそうな兆候が出ると動きが活発になると見られている訳だ。降雨祈願の魚としてはイの一番にあげられておかしくない。

日本では鯰信仰といえば、地の震動に敏感であるというか、地震を起こす大元とされたりしているが、それは神と近しい関係にある巨大魚であるということでもあろう。淡水魚としては、巨大になるタイプなのだ。大きなものになると、そうそう釣れる訳でもなさそうだが、全長3mを越すそうで、世界最大と言われるメコン川の聖魚とイイ勝負。
この手の鯰にそれこそ下手に噛みつかれて溺れでもしたらヒトも喰われてしまいかねない猛魚。淡水魚の王としての資格は十分すぎるほど。
(古代エジプトでは冥界使徒イメージが強い魚だが、インドではそのような感覚はなさそう。)

インドの代表的類類縁種は以下の通り。・・・
  ---Sisorid catfishシソル系
    ●グーンシュGoonch or Giant devil catfish/巨[⇔2m]
      @インド〜東南アジア大河川山岳部淵…悪魔の人喰い鯰と恐れられる
  ---Sheatfish欧州鯰系
    ●ワラゴWallago or Helicopter catfish/叉尾鮎[⇔1m]
    ●Pabdah fish or Ompok
  ---Shark catfishパンガシウス系
    ●Pangas catfish/扁加秋斯巨鯰 or 𩷶[⇔3m]
      @パキスタン〜インド〜バングラデシュ
    ○バサBasa fish or Bocourti/博氏巨𩷶[⇔1.2m]
      …広範な地域での食用養殖種(日本ではベトナム産養殖ナマズとして知られる。)
    ×メコン大鯰Mekong giant catfish/巨無齒𩷶…多分、世界最大
      @メコン川[⇔3m]…インド非棲息 タイでは聖魚
  ---Bagrid catfish/[ギギ]系
    ●Gangetic mystus/脂[⇔0.4m]…胸鰭に毒棘
  ---Airbreathing catfish/鰭鯰系
    ●クララMagur or Walking catfish/蟾鯰[⇔0.55m]
  ---Bagrid catfish/
    ●Tengara mystus/恆河
    ●Sun catfish or Günther's catfish/短體下眼
  ---Schilbid catfish/スキルベ系
    ●Gangetic ailia/巴基斯坦艾利鯰@インド亜大陸全般
    ●(インド・シャベルノーズキャット)Giant River Catfish/月尾諾[⇔1.5m]
  ---Eeltail catfish/権瑞系
    ●Striped eel catfish/鰻鯰@印度太平洋広域
(注) インドの養殖鯰生産量は日本に比べれば膨大だが世界的には僅少。突出するベトナムの約1%。もっとも、中国でもその半分、タイで1割強でしかなく、今後、変動が予想される。

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