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■■■ ジャータカを知る [2019.6.3] ■■■
[85] 虫補遺

🐞ジャータカを一通り眺めた印象からすれば、虫の類については、深い観察がなされていない感じがする。
秋の鳴虫や、夏の蝉の命の短さに対する関心はなさそうだし。

虫と言えば、寄生中は知られていた筈だが、その話もされていない。所謂、「獅子身中の虫」である。
仏法が消滅してしまうのは、ほかならぬ仏教徒の行為からで、外道による攻撃ではないという例えである。
この出処は後世の経典らしい。・・・
若佛子。以好心出家而為名聞利養。於國王百官前説七佛戒。與比丘比丘尼菩薩弟子作縛事。如師子身中蟲自食師子肉。
  @鳩摩羅什[訳]:「梵網経盧舎那仏説菩薩心地戒品」第四十八軽戒

どの程度知られているのか知らぬが、時に、迦羅求羅蟲が引用されている。
出典はコレ。・・・
此云何不思議 譬如迦羅求羅虫 其形微小 若得大風身如大山 随風大小ニ為己身相
  @曇鸞[476-542年]:「往生論註」巻下]

迦羅求羅蟲Krkalāsa or 黒木虫ということのようだが、原語の出典は不詳。従って、当てにならぬ推定にすぎぬが、蜥蜴の一種との説がある。
  ●色変えカロテスOriental garden lizard/変色樹蜥@インド〜マレーシア

ジャータカではカメレオンが登場するが、扱いは蜥蜴類のように思われ、どれと同類ということではなかろうか。体色を自由に変えることができるのだから、餌があるなら大きさも一気に変わる筈との見方か。

この他に、仏典に出て来る虫は思いつかぬが、一応触れておくとすれば、「六道絵」に善神として描かれている"神虫"位か。
  [→紙本著色辟邪絵@12世紀 (C)奈良国立博物館]
8本足で翅がある昆虫的様相の姿だが、解説によれば、蠶(さん)だそうだ。蚕の漢字であり意味不明。

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