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■■■ 今昔物語集の由来 [2019.11.13] ■■■
[136] 瓜盗み喰いの幼児を勘当
"盗人の裏をかく"[→]話は面白いが、おそらく現実性に乏しい印象を与えるだろう。
それよりさらに、現実にはありえそうもないと受け取られかねない盗みの話が収載されている。

所有とか盗みの概念を問う話にもなっている訳だが、本邦は「概念」を曖昧にする社会であるから極めて珍しいタイプの話である。
簡単に言えば、息子が家で盗み食いをしたので感動したというだけのこと。ルールが理解できない者と一緒に生活していると面倒に巻き込まれるから、追い出すしかないというだけの話。

  【本朝世俗部】巻二十九本朝 付悪行(盗賊譚 動物譚)
  [巻二十九#11]幼児盗瓜蒙父不孝語

 素晴らしい瓜、10個ばかりを厨子に入れ、
 夕刻にお遣い物にする予定があるので
 触るなと言っておいたのだが
 帰ってみると1個無い。
 誰だと問い詰めると
 言い争いに。
 そのうち、
 お坊ちゃんが食べていたと言う者が。
 それを知った父親、
 村人を集め証文に連署してもらい、
 即刻、勘当に。
 7〜8才の息子であり、
 瓜の1つ位でそこまでするのは
 狂気の沙汰と言う人もいたが、
 聞き入れることはなかった。
 その後、成人し
 貴族の家に仕えていたが、
 そこで盗みを働いてしまった。
 検非違使に捕らえられ尋問となり、
 別当は親ともども処分すべしとしたので、
 父親が呼ばれた。
 そこで、勘当の証文を見せ、
 それは自分の子ではないと主張し
 親はお咎め無しになった。


〆によれば、世間的にはこの親の見識が賞賛されたと。
勘当など、どうかしていると言っていた人々が、今度は賢い判断だったと180度違うことを平然と言い放つ訳だ。
賢い人はほんの一握りしかいないのである。

この時代から、成人して自活していても、親は子が犯した罪の責任をとらされる訳である。マ、ここらを因縁論にしていないところが秀逸。

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