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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.5.1] ■■■
[306] 諸法皆空
極めて難しい概念である"空"を扱った話が収載されている。
  【天竺部】巻四天竺 付仏後(釈迦入滅後の仏弟子活動)
  [巻四#35] 仏御弟子値田打翁語
 釈尊の弟子比丘が歩いていたところ
 翁と若い男が田圃を造ろうと荒地を耕作していた。
 突然、若い男が倒れ死亡。
 ところが、翁は作業続行。
 なんという男か、と思い関係を聞くと」
 単なる、子供だと言う。
 比丘は不思議に思い、
 母親が山の麓の家にいるとのことなので
 子供が亡くなったことを伝えに行った。
 到着すると、白髪の嫗が糸を紡いでいた。
 すぐに死亡したことを知らせ、
 父親はなにも変わらず耕作していることも告げた。
 しかし、嫗も仕事を続けるだけ。
 父親の態度も当然のことと。
 比丘は怪しく思い、理由を尋ねた。
 すると、
 一年前に夫婦で仏の説法を聴講。
 そして、お聞かせいただいたのです。

 「諸法は空也。
  有と思ふは僻事也。
  只、万の事をば、空しと思ふべき也」

 すべては無なのですから、子が死んでも思うことはございません。
 これを聞いた比丘は邪件していた自分を恥じた。

類似譚があるようだが[平康頼:「寶物集」1183年 巻六農夫空ヲ知ル事]見ていない。
尚、"空"については、三論集 v.s. 法相宗の教義の問題でもあることが、記載されている。この辺りを語りたかったのだろうか。
  [巻四#27]護法清弁二菩薩空有諍語 [→弥勒菩薩]
  ⇒玄奘:「大唐西域記」@646年 十 那羯磔迦国ダーニヤカタカ
 清弁菩薩と申す聖人御けり。此れは提婆菩薩の弟子也。
   清弁は、「諸法は空也」と立つ。
 護法菩薩と申す聖人御けり。此れは、世親菩薩の弟子也。
   護法は「有也」と立つ。


 ○文殊菩薩
 │
 ○馬鳴
 │
 ○龍樹[150-250年]《中論》《十二門論》
 ├┐
 ○提婆[170-270年]《百論》
 │○龍智
 ││
 ‖‖
 ││
 │◎清弁[490-570年]…法性宗─○智光─○師子光
 ○羅羅多─○沙車王子─○鳩摩羅什
     ─○道生─○曇済─○道朗─○僧詮─○法朗
      ─◎吉蔵/嘉祥大師[549-623年]…三論宗初祖
       ─○慧灌@本朝─○福亮・智蔵・道慈─

○弥勒菩薩

○無著[310-390年]
[弟}
世親[↓420-500年 or ↑320-400年]…瑜伽行唯識學派創始

○陳那[480-540年]
├┐
│○法称
護法/仏護[470-540年]…法相宗─○戒賢、最勝子、智月
┼┼○月称[600-650年]
┼┼○寂天[650-700年]

┼┼◎玄奘…[訳]護法:「成唯識論」
┼┼法相宗/唯識宗/慈恩宗
┼┼├┐
┼┼○基/慈恩大師[632-682年]─○慧沼─○智周、道氤、義忠
┼┼┼○道昭@本朝─○行基

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