→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.8.2] ■■■ [399] 新羅仏教の特質 その後、10門がたちあがった。(三論宗、律宗、涅槃宗、円融宗、華厳宗、法性宗、法相宗、小乗宗、海東宗、神印宗) 本朝では宗派といっても、当初は共学から始まっているが、朝鮮半島ではそれは相当に難しかった筈。 新羅の場合、シャーマニズム的土着信仰の土着言語の分裂的社会の上に公用語を漢語とする儒教生活の上流社会が乗っかっている構造だからだ。本朝のような仏教社会は作りようがなかろう。 常識的には、仏教が新羅社会とそりが合う訳がないが、震旦圏のなかでの国家生き残りには導入必至だから、ご都合主義的に急いで導入したのだろう。上意ということであれば、どんな宗教であろうが、宗主国への大量派遣と招請を急遽進め、表面上の改教とその隆盛はすぐに作れる社会構造だからだ。王朝内の学問所活動に注力すればよいだけのこと。しかし、根が無いから、早晩、宗族信仰で祭祀を司る儒教に駆逐され、教団の四分五裂は避けようがなかろう。(修二会が現代迄続く国の目線で、小中華国の宗主国模倣路線を眺めると本質を見誤る。反仏教の新小天子一族が誕生すれば、旧勢力は文字通り抹消される点を忘れるべきでない。そのような風土で、後世、残存仏典や法嗣が発見できたら奇跡。そんな奇跡を信じるか否かは、個人の自由。) そんなこともあり、中華帝国傘下の統一新羅化の頃には、元暁[617-686年]:「十門和諍論」の"和百家之異諍 歸一味之法海"が基本姿勢とされた。 そして、中華帝国には高位の新羅僧が生まれたのである。そのネットワークに依拠して、新羅の民間交易船が海上交通網をとりしきった訳である。📖弥勒菩薩 但し、収録されている話は、百家異諍ではなく、大乗v.s.小乗である。大乗は、小乗を修めてから受修ということか。 【震旦部】巻六震旦 付仏法(仏教渡来〜流布) ●[巻六#36]新羅僧愈受持阿含経語📖「三寶感應要略錄」引用集 ⇒「三寶感應要略錄」中_9新羅國僧兪誦阿含經生淨土感應 新羅僧 僧愈は幼少時家。 身に犯す所無く、心を浄土に懸けた。 大乗を貴び、小乗は崇めない。 そのため、諸々の阿含経典の受持者を見つけると、 謗しり、捨てさせた。 そんな風にすぎしていたが、夢をみた。 自からだが、突然、極楽の東門に到着。 門を入ろうとすると、 膨大な数の天童がそこに居て、門外に立ち並ぶ。 それぞれが宝杖を持ち、駈り出し、入れようとしない。 そして、僧愈に語った。 「小乗/相如の滅没するは、即ち大乗の滅相也。 小乗の橋を渡って、大道に登るもの。 此れ汝の国の風習である。 にもかかわらず、 汝は、阿含を軽慢し捨て、崇めることもしない。 そんなわけで、汝は大乗の門に入ってはならぬ。」と。 夢が覚め、泣き悲しみ、過誤を後悔。 その後、四阿含を兼受持し、怠る事がなかった。 そして寿命が訪れると、浄土来迎を得た。 弟子のよると 僧愈は花に坐しており、やって来て語った。 「我、娑婆で阿含を兼受持した。 元を受習して、先ずは、小道を得たが 遠からず、必ず、大道に還ってくること。」 そこで夢から覚めた。 弟子はこのお告を信じ、阿含を受持。 まったく、小乗を軽め慢る事をしなかった。 参考に、鳩摩羅什[譯]:「妙法蓮華經」の一部を引用しておこう。 諸佛出於世 唯此一事實 餘二則非真 終不以小乘 濟度於衆生 佛自住大乘 如其所得法 定慧力荘厳 以此度衆生 自證無上道 大乗平等法 若以小乗化 乃至於一人 我則堕慳貪 此事為不可 [卷一2方便品] 亦不親近 搶纐攝l 貪著小乘 三藏學者 破戒比丘 名字羅漢 [卷五14安樂行品] 上記の説明では、国際的な半島での勢力争いに触れていないので誤解をあたえるかも。気候条件から生産性が低い国土だが、一時期温暖だったようで、渤海までもが繁栄できるようになっていく。そのなかで、新羅は鉄生産で一気に朝鮮半島で勢力を伸ばしたのである。当然のことながら、鎮護国家の華厳宗/賢首宗の仏教政策を採用することになる。 華厳経については、震旦・本朝とは相互に緊密な関係を築いていたとみて間違いない。・・・ @震旦 〇[天竺僧]仏陀跋陀羅[359-429年][譯]:「華厳経」(旧訳) 〇霊弁[477-522年]@五台山:「華厳論」 ┼○[新羅僧]慈蔵[607-675年] ●杜順[557- 640年]@終南山至相寺 └〇智厳[602-668年]@終南山至相寺 ┼├◎[新羅僧]義湘[625-702年] ┼│└〇@新羅 悟真・智通・表訓・真定・真蔵・道融・良圓・相源・能仁・義寂 ┼└〇法蔵/賢首大師[643-712年]@長安大薦福寺 ┼┼├〇慧苑─〇法詵 ┼┼├〇澄観[738-839年]@五台山顕通寺─〇宗密[780-839年]─・・・ ┼┼├〇宏観 智光 慧英 ┼┼│ ┼┼│┌〇@新羅元暁/和諍国師[617-686年]…念仏浄土教的華厳 ┼┼││ ┼┼││@本朝 ┼┼└●[新羅僧]審祥@大安寺 ┼┼┼├〇慈訓[691-777年]@山階寺…華厳講師 ┼┼┼│└〇寿霊:「華厳五教章指事」800年頃 ┼┼┼│ ┼┼┼│┌〇[唐僧]道璿 ┼┼┼└〇良弁…東大寺開山 ┼┼┼┼├〇智景/智憬 ┼┼┼┼├〇普機:「華厳一乗開心論」830年 ┼┼┼┼└〇実忠[726年-n.a.]…修二会 ┼┼┼┼┼└〇等定[721-800年] ┼┼┼┼┼┼├〇総道@大安寺 ┼┼┼┼┼┼├〇崇道天皇@大安寺東院 ┼┼┼┼┼┼└〇正進[n.a.-874年] ┼┼┼┼┼┼┼└〇長蔵 ┼┼┼┼┼┼┼┼└□[真言系(空海直弟子)]道雄[n.a.-851年] ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼@東大寺 海印寺開基 [註]東大寺は兼教学を旨としている。・・・ 戒壇院…律宗 真言院…真言宗 東南院…三論宗(+真言宗・法相宗) 尊勝院…華厳宗 知足院…法相宗 唐禅院…天台宗(+律宗) 吉禅院…法相宗 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |