→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.8.22] ■■■ [419] 粥投擲 小生は、さほど驚くような話ではないと思うが、大衆的話題として流布したに違いない。本質的には俗っぽい話以外の何物でもないのだ。ところが、話題の主が敬虔そうに映ると、インテリも注目しがち。頭デッカチの欠点では。 題材は全く違うが、同様なセンスで収載しているように映る話がある。 【震旦部】巻十震旦 付国史(奇異譚[史書・小説]) 《36-40 他》 ●[巻十#37] 長安市汲粥施人嫗語 長安の市で、粥を多量に作って振舞う嫗がいた。 市を行きかう人々の数は膨大で、 日の出から、日の入り迄、市門を出入りする人に、 門前で粥を沢山煮て用意し、 百どころか千もの器を並べ置き、 作った粥をその器に盛って、人々に食べさせることで、 功徳を積んでいたのである。 始めの頃は、 その粥を杓[湯勺/杓子]に汲んで、 あわただしく器に入れていた。 しばらく年月を経て、巧みになって来たので、 1〜2丈離れた所から、杓に粥を汲んで投擲。 塵許も溢さずに器に入れることができた。 さらに、年月を経て、功徳も積み上がって来ると、 4〜5丈離れた所から、杓に粥を汲んで投擲するように。 露ほども溢さないのである。 それを見た人は、 「然らば、何事也と云ふとも、 年来の功入らば、此の如く有るべき也けり」 と言い合ったのである。 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |