→INDEX

■■■ 今昔物語集の由来 [2020.11.7] ■■■
[495] 大隅国郡司の歌
「今昔物語集」編纂者撰和歌集の25番は、国司に詠めと命じられた大隅国の老郡司の1首。
罰するつもりが老人だったので、情状酌量で放免しようということで。
  [巻二十四#55]大隅国郡司読和歌語

大隈守が統治を徹底すべく、郡の四度帳簿報告を正しく記載するようにとのお触れ。
もし問題が見つかれば、速やかに誡めると。
ところが、一度ならず、問題がある郡司がおり、
重く誡める要あるということで
引き立てて罰することに。
以前同様に、臥せた姿勢にさせ、尻と頭に人が乗り、
鞭打つ準備をができたところで
守が登場。
見ると、頭に黒髪が混じらない白髪の大変な年寄。
鞭打ちには忍びずと、憐憫の情が生まれてしまった。
なにか理由をつけて放免しようと考えたが、
口実になりそうな事が一つも無い。
過ちを問いただしても、すべて老齢のためと答えるだけ。
守は苦慮し
「汝はまさに盗人に等しい。
 しかし、和歌は詠むのか?」と。
老人は
「はかばかしいものではございませんが、一応。」と。
守、さっそくに、「それなら、詠め。」と。
老人は、ワナワナと声を振るわせながら詠んだのである。

 年を経て 頭の雪は 積もれども
  笞(葼/しもと)見るにぞ 身は冷えにける


守は大変に感心され、哀れに思い、罪を免じてかえした。

【ご教訓】
甲斐無き下臈の田舎人の中にも、歌を詠む者がいる。あなどるべきではない。
   ⇒源俊頼[1055-1129年]:「俊頼髄脳/俊頼朝臣無名抄/俊頼口伝集」1113年
      【六】実作の種種相
📖「俊頼髄脳」好み

確かに、大いなる隅の方にある国だが、古事記的には、おそらく大住の地であり、海人の独立性気性が残っているから文化の模倣は遅れがちにはなるが、それだけのことだろう。この譚での指摘はそんなことではなかろう。

すでに、地方の郡司レベルでは徴税機能が働くなっていたことが想定される。郡司は、単に中央政権からお墨付きを頂戴しているだけで、現地での実権がほとんどなくなっており、老人しかなり手がいなくなっていることが見てとれる。ほとんど名誉職ということ、

 (C) 2020 RandDManagement.com    →HOME