住宅関連設備産業には激動発生の引き金が揃っている…


 住宅設備とハウスホールド電気機器の業界構造は、今までは安定していた。ところが、もともと動きが激しかった産業より早く、業界の大きな変貌が起こりそうである。しかも、産業構造の変化と技術によるイノベーションが密接に絡みそうなので、研究開発の巧拙で企業の浮沈が決まる時代が到来しそうだ。

 この業界の変動を起こす要因を見ておこう。
 第1は国内需要量の減少である。
 第2は消費者のライフスタイルの変化である。
 第3は廃棄物の問題である。
 第4は情報通信インフラの整備が進むことに伴う家庭設備の質的変化である。

 特に大きな変化は、言うまでもなく家庭内に外部と繋がるコンピュータが設置される点だ。といっても、現時点では、その姿は鮮明になってはいない。現在のパソコン形態のコンピュータが家庭の基幹用に使われるとも限らない。ホームマネジメントやエンターテインメントの領域で、様々な情報通信技術を活用した斬新な機器が登場すると予想されるからである。例えば、家庭機器のコントロールをコンピュータが担当するようになると、家庭の生活基盤そのものも大きく変わり、当然、機器の性能や基本仕様も変化する。特に、通信を介した外部サービスとの融合で、機器の役割が変わる可能性が高い。

 このような状況を勘案すれば、産業の激動は避けられないと考えるべきだろう。事業家にとっては大きなチャンスであるし、環境変化に疎い企業にとっては大きな脅威ともいえる。一方、研究開発部門にとっては、自らの知恵で大きな飛躍を実現できる千載一遇のチャンスである。今後が不透明な部分が多いだけに、様々なシナリオの事業将来像を自由に描けるからだ。

 家電といえば日本という評判が高いから、ニュースの上では日本が活発に映る。しかし、情報通信技術の実態からいえば必ずしも日本の流れが主流に属すという保証は無い。研究開発には通信企業とのタイアップは不可欠といえよう。
 この業界では、規模で地位の安定が図れるとは限らない。キッチン・バス・リビングの機能をどう考えるべきかを、消費者に提案していかない限り生き残れまい。従って、この視点で新技術を磨き、パラダイムにフィットする研究開発組織を作り、イノベーションを目指していく企業だけが飛躍していくといえよう。

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