コンピュータの研究開発(5)…


 コンピュータ研究開発の流れを考えると、他社製の汎用チップ化の流れを前提にした方がよいという印象を受けるかもしれない。しかし、コンピュータは本質的には半導体のパワーで動くものだ。この技術を捨ててしまう訳にはいかない。

 コンピュータ機器の研究開発システムを考える場合、本来、一番重要なのは事業コンセプトに合わせ、自社の武器となる技術を活かしながらコンピュータのアーキテクチャーを考案することだ。実際の研究開発活動に当てはめれば、コンピュータ用IC開発を意味する。

 そうなると、ICの設計・製造の流れのうち、どこに注力するかを明確にしておく必要があろう。すなわち、自社の力を発揮する部分を決め、徹底的に磨き込む必要があろう。
 この議論のために用いる、半導体の開発から製造までの流れ図の典型例を下図に示す。
 図表の左上の、最初のブロックはICの仕様決定である。第2のブロックはIC回路の設計。第3は回路を焼き付けるためのネガ作成。第4はチップ製造。第5はIC部品化。第6が最終機器搭載だ。

 高速処理実現やコストダウンのために、チップ製造プロセスに力を入れざるをえないから、研究開発活動は第4ブロック中心の企業が多い。確かに、製造技術の寄与は小さくない。しかし、長期的に考えれば、競争力の根源はあきらかに上流側だ。どのような機能を実現するか決定するのは、この部分だからである。

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