次世代自動車(脱ガソリンエンジン)の研究開発…ついに「無ガソリン」に挑戦する研究開発姿勢を打ち出せるかが、問われ始めたのではないだろうか。しかし、98年度の電気自動車の推定保有台数は、原付自転車を除けば、2000台に満たない。(日本電動車両協会推定値)保有数が伸びる兆候も感じられない。これでは、研究開発費がペイするどころではない。にもかかわらず、企業として今後も電気自動車の研究開発を進めるつもりなら、目標を明確にすべきだろう。2次電池の電気自動車は実用性が無いと考えるなら、はっきりとそう主張すべきである。 燃料電池が本命と考えるなら、こちらへの全力投球宣言を出す位のリーダーシップが必要だろう。 すでに、時代の転換期が訪れているとの時代感覚を持つ企業もある。ロイヤルダッチシェルは、エネルギー源としての石炭に見切りをつけ事業から撤退した。その一方、リニューアブル・エネルギー事業と水素事業を発足させた。前者は長期的には水素をリニューアブル資源から得る時代が到来するという壮大な考え方に基づく事業である。後者は、水素燃料市場を創出しようという目論見だ。既存の仕組みの防衛より、新しい社会を造る側に立つことを重視した動きといえよう。「石炭→石油→天然ガス→水素」という、炭素リッチから脱炭素に向かう歴史の大きな流れに逆らわず、流れを促進する側に立つようだ。 もちろん、このシナリオの読みが当たるとは限らない。既存インフラを活用できるから、「つなぎ」型のガソリン改質型燃料電池が広く普及するシナリオも有りうる。 一般に、他社のシナリオを研究し、徹底的に評価したところで意味は薄い。自分達でシナリオを描くべきなのだ。そして、自社のシナリオを打ち出し、その実現に向けた研究開発体制を構築する。この動きこそが社会や関連業界への具体的な説得材料になる。大胆なシナリオに乗った動きを進める時代なのだ。 |