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■■■ 古代の都 [2018.11.10] ■■■
[時代区分:0]プレ東征

「古事記」中巻は"治天下"初代から始まるが、神話の集成たる上巻には、プレ初代の孫降臨譚に於ける宮が収載されているので、その部分を取り上げておこう。

穂穂手見命の宮地は高千穂。
580歳で崩御。御陵は高千穂の山の西。

ご存知降臨の発端の系譜は天照大御神の誓約5男神の1柱から。
正勝吾勝勝速日天忍穗耳
┼┼〃┬万幡豊秋津師比売(高木の神の娘)
┼┼┼├─天火明命
┼┼┼└─天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命

伴者は5五柱。
 天児屋命(祖:中臣連)
 布刀玉(祖:忌部首)
 天宇受売命(祖:猿女君)−猿田毘古@天の八巷
 伊斯許理度売命(祖:作鏡連の先祖)
 玉祖命者(祖:玉祖連)
付き添え的神。
 八尺勾瓊
 (天照大神御魂代)⇒@五十鈴宮
 草那芸剣
 常世思金神(御前事・政事)⇒@五十鈴宮
 登由宇気神⇒@外宮 度会郡
 天石戸別神/櫛石窓神/豊石窓神(御門の神)
 手力男神(佐那那県)⇒@佐那那県
経路は、・・・
 天の石
 …天の八重の棚/多那雲
 …御稜威の道
 天浮橋
 
 宇岐士摩(浮き島)
 
 筑紫 日向の高千穂の久士布流多氣

武力でこの地を獲得したようである。
 天忍日命(祖:大伴連等)
 天津久米命(祖:久米直等)
  天の石靫(矢入れ箱)
  頭椎の大刀(丸型柄頭)
  天の櫨弓(ハゼの木製)
  天の真鹿児矢(鹿狩用)
そして宮を造成。
《宮地》
  向韓國眞來通 笠紗之御前
  朝日之直刺國 夕日之日照國

《宮仕様》
  底津石根宮柱
  布斗斯理於高天原
  椽多迦斯理


降臨した高千穂の地は、宮崎高千穂峡と宮崎鹿児島の境の高千穂峰に、マイナーながら北九州の3説があるようだ。
このことは九州では、祖先が霧深い奥山に降臨したとの伝説があり、山信仰(奇しふる岳)が拡がっていたことを意味していそう。
ただ、この場合の"向韓國"は降臨地ではなく、宮地である。韓國(大陸側)との交通至便ということでしかない。大陸と交流している話は収載されていないが、来訪者が少なくなかった可能性があろう。

日子番能邇邇芸命┬神阿多都比売
┼┼┼┼┼┼┼┼/木花之佐久夜毘売
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼(大山津見神の娘, 石長比売の妹)@笠紗岬
┼┼┼┼┼┼┼┼├─火照命(祖:隼人阿多君)
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼…海佐知毘古[鰭廣物 鰭狹物]
┼┼┼┼┼┼┼┼├─火須勢理命
┼┼┼┼┼┼┼┼└─火遠理命
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼/天津日高日子穂穂手見命
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼…山佐知毘古[毛物 毛柔物]

御子は火から生まれた。黒潮流域の火山列島ならではの伝承と言えよう。
そして、海彦の海神の宮訪問譚。絶滅動物日本海驢製の畳が登場するから、南九州辺りの話であることは間違いないし、(絹織物)もあるから大陸との交易で潤っていた場所でもあろう。
海神の話からすれば、山麓と湿地、それぞれの地に適応できる農耕技術もあり、狩猟か漁撈という地からの来訪者にとっては、極めて先進的な地だったことになろう。

なんといっても圧巻は、帰国土産の潮満珠と潮乾珠である。海彦を溺れさせる力があった訳で、津波あるいは巨大台風で集落壊滅があったことを示唆していそう。
帰国後の出産は、鵜羽の萱葺の産殿。その体は匍匐する鰐体形。揚子江鰐の棲む環境で、鵜と生活している地域の習俗を示していると見てよかろう。

火遠理命┬豊玉毘賣(海神の娘)
┼┼┼┼└─天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命
┼┼┼┼┼┼〃┬[叔母]玉依毘売命
┼┼┼┼┼┼┼├─五瀬命
┼┼┼┼┼┼┼├─稲氷命
┼┼┼┼┼┼┼├─御毛沼命
┼┼┼┼┼┼┼└─若御毛沼命
┼┼┼┼┼┼┼┼┼/豊御毛沼命神倭伊波礼毘古命


   表紙>
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