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■■■ 「古事記」解釈 [2021.1.12] ■■■
[11a] 出雲系神々
大穴牟遅神と八上姫神の関係を眺めると、現代の因幡(鳥取市)・出雲東(松江市)・出雲東(出雲市)の3地域の競い合いのようなものを感じてしまう。この辺りの伝承話を一括して"出雲神話"としてしまうのが一般的だが、他地域の神話との位置関係を規定せずにまとめてしまうのは考えモノ。

「古事記」序文では、系譜/事績の類の伝承譚が混乱してきたから、整理するようにとの命が下ったとの編纂目的が記載されている。このことは、王朝系譜と臣の列伝を公式文書化することで、官僚統治のためのヒエラルキー形成を図って来た中華帝国型統治の仕組みが不可欠になってきた状況を物語っているようなもの。
それは、極めて政治的な作業であり、その時点での政権構造を反映したもの以上ではなく、厄介な仕事であるが、家に伝わる書もあるから、それをベースに全力投球でとりかかったに違いない。
しかし、天皇崩御で中止したということになっているが、要するに、「日本書紀」編纂を上申したということだろう。もちろん、パワーバランスを考慮した官僚チームでの成書化という条件をつけて。
その編纂プロジェクトが始まり、メンバーとして活躍したのだろうが、同時に、個人的に「古事記」編纂したのではなかろうか。
官僚の総意で纏めて行く書では、歴史観はあってなきが如しということで、それがわかる書を残したかったのだと思う。

そのように見るなら、因幡・出雲東・出雲東の箇所は示唆に富む。
天孫と土着神という二元的なトーンに対するご注意が含まれているからだ。公的史書でそのように決定したことの意義を伝えとうということかも。

そうとでも考えない限り、大国主系譜"十七世神"を収載する意味がわからないからでもある。出雲国から出ないと約束した以上、地場と祭祀家を除けば、そのような系譜に価値無しと考えるのが普通だからだ。
気になるのは、「日本書紀」が無視するのは当然ながら、「出雲國風土記」で、なんら触れられていない点。
もちろん。子孫には限定的にしか触れずという方針ならわかるが、そうとは思えないからだ。・・・
 --- 出雲国の郡の配置 ---
出雲 楯縫 秋鹿 島根
出雲 入海・・・・・・・・・・・・・
出雲 □□□□□ 意宇
神門 飯石 大原
神門  飯石    仁多

【"天の下造らしし大~の命"の妻問い】
●奴奈宜波比売命@島根郡美保郷…「古事記」高志 沼河比売
[拒絶したからか不詳] 綾戸日女命@出雲郡宇賀郷…神魂命の子
●真玉著玉之邑日女命@神門郡朝山郷…神魂命の子
<出雲 西>
  朝山神社@出雲朝山上朝山比多伎…「出雲國風土記」浅山社
●八野若日女命@神門郡八野郷
<出雲 西>
  八野神社@出雲矢野

【"天の下造らしし大~の命"の子】
●山代日子命@意宇郡山代郷
<因幡>
  [合祀]大江神社@八頭橋本
<出雲 東>
  山代神社@松江古志原(旧地:茶臼山/神名樋山)
●阿遅須枳高日子命@神門郡高岸郷、仁多郡三沢郷…⇔葛城 賀茂社
●御穂須須美命@島根郡美保郷…奴奈宜波比売命との子で、建御名方神と同一視されることも。
●和加布都努志能命@秋鹿郡大野郷、出雲郡美談郷
<因幡>
  [合祀]山代神社@松江古志原(旧地:茶臼山/神名樋山)
<出雲 東>
  内神社/高野宮@松江大垣
<出雲 西>
  縣神社(美談神社内)@出雲美談
●阿陀加夜努志多伎吉比売命@神門郡多伎郷
  ・・・真玉著玉之邑日女命の子 or 木俣神(八神比売神の子)。
<因幡>
  阿陀萱神社@榎原橋本宝石山
<出雲 東>
  多伎神社@松江大垣
  阿太加夜神社@松江東出雲出雲意宇川河口…「出雲國風土記」阿太加夜社
<出雲 西>
  多伎神社@多伎多岐笠無
  多伎藝神社(多伎枳社+多支々社)@多伎口田儀宮ノ下…「出雲國風土記」多伎社
  市森神社@稗原…「出雲國風土記」富能加神社

参考に、大神の、「播磨國風土記」での登場の仕方も記載しておこう。・・・
 @飾磨郡伊和里
伊和の大神の妻:弩都比売
大汝命の子:火明命
 @飾磨郡英賀里
伊和の大神の妻:許乃波奈佐久夜比売命…「古事記」木花之佐久夜毘売/神阿多都比売
伊和の大神の子:阿賀比古・阿賀比売
 @揖保郡林田里
伊和の大神の子:伊勢都比古命・伊勢都比売命
 @揖保郡出水里
伊和の大神の子:石龍比古命・石龍比売石
 @讃容郡柏原里筌戸
大神出雲より来ましし・・・
 @讃容郡雲濃里
大神の子:玉足日子・玉足比売命
 @宍禾郡
伊和の大神、國作り堅め了へましし以後・・・
 @宍禾郡比治里 宇波良村、等
葦原志許乎命、國占めましし時・・・
 @神前郡
伊和の大神の子:建石敷命

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