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■■■ 「古事記」解釈 [2021.9.28] ■■■
[270] 時系列滅茶苦茶話を敢えて収録
倭建命物語の価値の解説は薄っぺらいものになりがち。
「古事記」は、もともと忘れ去られていた書であるが、日本国は独自の文化国家として歩んできたことを示すことに気付いた人々が掘り起こして、注目を集めるようになったもの。
イエスや釈尊の国際性に気付き、それぞれの国に古代の叙事詩が存在することを知ると、対抗意識が働いて一気にその流れが生まれたということだろう。
特に、倭建命の障害はドラマティックなので、牽引車的役割を任ったと見て間違いないだろう。
それは、モトネタに潤色や創作が加わったお話が次々と現れることになるし、神として勧請するとか、自分達も関連性ありとする話が五万と生まれたのは間違いない。

面白いのは、それは後世だけでなく、「古事記」編纂時点ですでに生じていたという点。

おそらく、滅茶苦茶な自称伝承話が至るところになり、太安万侶もこれはどうにもならないと感じたのであろう。
しかし、そうした状況のなかで、直観を働かせて記載しなければならないのだから、えらく大変なことである。
まさか、この時代は矛盾だらけの話だらけで、神世の時代となんら変わらぬと書く訳にもいかないし。

結局、それを示すために、常識外れの系譜を示すことにしたようである。・・・
仲哀天皇・大中比売命は景行天皇の孫同士の婚姻であるから、そこだけ見ればありえるが、妃の祖父が景行天皇の孫でもある筈がない。
(もともと、弟橘比売命は出自が未記載であり、入水の様子からすれば、古代の軍勢の先頭で呪を唱える巫女とも思えるから、ここらの伝承はなんとも言い難しなのだろう。おそらく、14代嫡子の応神天皇、香坂王、忍熊王の皇位継承争いで、女系的にも皇統譜に連なることを示すための系譜が存在していたのだろう。)
大帶日子淤斯呂和気天皇/景行天皇
└┬──△針間伊那毘能大郎女
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│┌─┘
│●小碓命/倭男具那命/倭建命
│└┬─△布多遅能伊理毘売命(伊玖米天皇[11]の娘)
││⓮帯中津日子命/仲哀天皇
┌──┘
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││└┬△弟橘比売命…入水
││○若建王
││└┬△真黒比売
││┼┼○須売伊呂大中日子王
││┼┼└┬△柴野比売(淡海 柴野入杵の娘)
││┼┼┼迦具漏比売命訶具漏比売
│└┬──┘
○大枝王/大江王
└┬△(庶妹)銀王
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┼┼○大名方王
┼┼┼大中比売命
└┬──┘
│├┐
│○香坂王
○忍熊王

└┬△息長帯比売命/神功皇后
⓯大鞆和気命/品陀和気命/応神天皇

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