→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2021.10.7] ■■■ [279] 風土記の天皇の稱號を参考にして なんといっても、そこに魅せられるのは、現代の時間認識方法もその頃とほとんど変わっていないからだ。マ、西暦にしても、+−概念がありそうに見えるが、ゼロの概念が無く2年間が空白な時制であり、これほど非科学的な表記はないから、格別驚くべきことではないものの。 そんなことを考えていると、面白いのは、真面目に「欠史」と呼ぶセンス。素人からすれば、大笑い。 どう読んだところで、奈良盆地南側での、時間の流れを記載しているに過ぎない箇所である。そこには古代社会の狭い地域の角逐が見えると共に、盆地外とどう繋がって行くのかが皇統譜から読み取れるようになっている。そんな社会のマイナーで個々バラバラな種々雑多な事績からお話を取り上げる気にならなくて当然だろう。(「古事記」は、H.G.ウエルズのような"意図した"歴史書ではないが、時間軸を示していると云う意味でなら、そう言えなくもない。) ある意味、一本化された皇統表記こそが古代の時間表現になる。 太安万侶は、それを中華帝国の60年単位の時間軸に当て嵌めるのはとうてい無理であり、そんなことをしたところでたいした意味は無いと看破していたことになる。もっとも、国史プロジェクトはそうはいかないから試行錯誤的に頭を捻って知恵を集め、中華帝国暦年対象可能な時間軸設定を考案したに違いないのである。(従って、くどいが、「記紀」として読めば、「古事記」を読む意味は薄い。) 各国風土記に目を通していて、もう一つよくわかったのが、漢字"天皇[テンノウ≒テンコウ]"の訓読み。要するにこういうことだろう。・・・ すめら-ぎ/すめろ-き…皇統≒"皇祖" すめら-みこと…"今上" すめ-みま(の)-みこと…"皇孫" みこと(命)…神の意向を受けて言葉を発する者 言うまでもないが、以下は天皇とは概念が全く異なる。 おお-きみ(大君)…王族身分≒大王 み-かど(御門≒帝)…朝廷 太安万侶にとっては、これらは常識中の常識であるし、そんあことも分からぬ読者を相手にしていないから致し方無いとはいえ、残念ながら、現代人にとってはわかりにくいこと極まりないのである。 「阿波国風土記(逸文@「仙覚抄/萬葉集註釋」巻一 1269年)」と「常陸國風土記(逸文)」には《(三柱)天皇の稱號》が記載されており、残存風土記は宮名を用いる点ではそれを踏襲しているが、ここではルビがふってあるので参考になる。但し、このルビは後世書き込みと推定されている。以下、ママ引用ではないが、解釈がわかるように書いてみた。・・・ 阿波國風土記ニモ 或云: …⑩御真木入日子印恵命@師木水垣宮 或云: …⑯大雀命@難波之高津宮 或云: …㉘弟建小廣國押楯命@檜坰之廬入野宮 所謂「常陸國風土記」中 或云: …⑫大帶日子淤斯呂和気天皇@纒向之日代宮 或云: …㉖哀本杼命@伊波禮玉穂宮 或云: …㊱天万豊日天皇@難波宮 (C) 2021 RandDManagement.com →HOME |