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■■■ 「古事記」解釈 [2021.11.11] ■■■
[314] 後世の皇統検討との比較
8012代天皇には、"80も御子があると、錯綜した記録がゴチャゴチャと出て来て流石に整理しかねたのだろうと見ていたが、偽書とされている「先代旧辞本紀」では(合計は1名多い81。)7割ほどの名前が記載されている。"として、すでに軽く触れたが、どう対応しているのか、確かめたくなった。📖八十御子のインパクト

蛇足気味だが、「記紀」読みは無益と考えるが、偽書でもある「先代旧辞本紀」は大いに参考になる理由について書いておこう。・・・
この書は、国史とは目的が違う。万世一系の皇統譜提示は最優先だが、それは大前提であって、それを示すことに注力している訳ではなく、天皇の類縁をできる限りひろくカバーしたいだけ。従って、骨格情報は国史となるが、そこで触れられていない情報の補填と、改訂によって類縁氏族に関係する皇族を拾いあげることにある。当然古事記の記載も用いられることになる。つまり、この書では、氏族関係=皇族群別がわかるようにしたいという観点での整理が試みられたことになろう。(おそらく、国史成立後100年以上経ち、そのような情報の整理が望まれるようになったのだろう。)
このことは、国史の系譜記載の巻は早くに抹消されることになったか、本文以上の詳細情報が含まれていない茫洋とした記載でしかなかったことになろう。

比較するとわかるが、太安万侶の眼力が格段に優れていることがわかる。
もっとも、そう思いたくない人がほとんどで、読み手の自分の頭脳が圧倒的に優れていると考えているのだから、議論してもおそらく時間の無駄であろう。

(ちなみに、「先代旧辞本紀」は物部系によって編纂されたとの解説があるが、事績記載から見て常識的にはあり得ない見解。石上神宮崇拝時代を明確にしないと、皇族群別化が一歩も進まないとの見解に立ったため、物部系系譜が不可欠というだけのこと。)
例えば、「先代旧辞本紀」では、"日本武尊"は追號であると、わざわざことわっている。このことは、"小碓命=倭男具那命⇒<倭建命>/【太子】"という「古事記」の記載は練られた書き方であることを意味していると言えよう。

流石に、皇子たる倭建命の曽孫と結婚し、皇子 大枝王/大江王が誕生という部分は避けている。
これこそ、太安万侶渾身のガツンと一撃と言ってよいだろう。しかも、"大兄"こと大枝王の結婚相手は庶妹なのだ。
「先代旧辞本紀」は、ただただ天皇の81御子の同定に精力を注いで無理する訳だ。もともと、各氏族勝手勝手で相互矛盾だらけな伝承系譜が溢れかえっているからこその、「古事記」出番の命である。太安万侶は網羅化にははなから興味など無く、80御子とは、どのような婚姻関係を意味するのかを示したかったのである。

<吉備臣の祖 若建吉備津日子の娘>針間伊那毘能大郎女

櫛角別王…茨田下連 等
  ⇒●櫛角別命…茨田連
大碓命…守君 大田君 嶋田君
│ ⇒●【皇子】大碓命…守君等 大田君 嶋田君
└┬△兄比賣

[子]押K之兄日子王…三野之宇泥須和氣
  ⇒●兄彥命…大分穴穗御埼別 海部直 三野之宇泥須別 等
[子]押K弟日子王…牟宜都君
  ⇒●弟別命…牟宜都君
【太子】小碓命/倭男具那命/倭建命
  ⇒●【皇子】小碓命…[追號]日本武尊
倭根子命
  ⇒●稚根子皇子命
~櫛王…日向國造
  ⇒●櫛見皇命…讚岐國造

△八坂之入日売命(八尺入日子命の娘)

【太子⇒皇嗣】若帶日子命
  ⇒●【皇子】稚足彥尊
【太子】五百木之入日子命
  ⇒●【皇子】五百城入彥命
押別命
  ⇒●忍足別命
五百木之入日賣命
  ⇒●【皇子】五百野姬皇女命…伊勢天照大~齋祠

△(妾)

豐戸別王
  ⇒●豐門別命…三島水間君 奄智首 壯子首 粟首 筑紫火別君
沼代郎女
  ⇒__n.a.

△(妾)

沼名木郎女
  ⇒__n.a.
香余理比賣命
  ⇒__n.a.
若木之入日子王
  ⇒__n.a.
吉備之兄日子王
  ⇒●吉備兄彥命
高木比賣命
  ⇒__n.a.
弟比賣命
  ⇒__n.a.

△日向 美波迦斯毘売

豐國別王…日向國造
  ⇒●【皇子】豐國別皇子…日向諸縣君 等
  ⇒●豐國別命…喜備別

△伊那毘能若郎女(伊那毘能大郎女の妹)

眞若王
  ⇒●眞稚彥命
日子人之大兄王
  ⇒●彥人大兄命

△訶具漏比売(倭建命の曽孫 須売伊呂大中日子王の娘)

大枝王/大江王
│  ⇒__n.a.
└┬△[庶妹]銀王
   ⇒__n.a.

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「先代舊事本紀」巻七天皇本紀 景行天皇
<81皇子(男55+女26)うち6皇子(男5+女1)>
【皇后】播磨稻日大郎姬…3男
  ●[雙生]大碓命…《皇子》
  ●[雙生]小碓命…《皇子》
  稚倭根子命
【求妃】弟媛(八坂入彥皇子之女)@美濃國
【妃⇒皇后】[妾姊]八坂入媛…7男6女
  ●稚足彥…《皇子》
  ●五百城入彥…《皇子》
  ●忍足別
  稚倭根子
  大酢別
  五十狹城入彥
  吉備兄彥
  渟熨斗姬
  渟名城姬
  五百城入姬
  麛依姬
  高城入媛
  弟姬
【妃】水齒郎媛(三尾氏磐城別之妹)
  ●五百野皇女…令"祭天照大神" 《皇子》
【妃】五十河媛
  神櫛皇子
  稻背入彥皇子
【妃】高田媛(阿倍氏木事之女)
  武國凝別皇子
【妃】日向髮長大田根
  日向襲津彥皇子
【妃】襲武媛
  國乳別皇子
  _+國凝別皇子
  國背別皇子/宮道別皇子
  豐戶別皇子
【妃】御刀媛
  ●豐國別皇子…《皇子》
【求妃】[兄]遠子+[弟]遠子(神骨之女)@美濃國
    …大碓命密通
【妃】五十琴姬命([大臣]物部膽咋宿禰女)
  五十功彥命
<50皇子+皇女25=合75 各封州縣 不入國史>
  ⇒稚倭根子命
  ⇒大酢別命
  ⇒●吉備兄彥命
  ⇒武國凝別命…筑紫水間君主
  ⇒稻背入彥命…播磨別
  ⇒●豐國別命…喜備別
  ⇒國背別命…水間君
  ⇒忍足別命
  ⇒日向襲津彥命…奄智君
  ⇒國乳別命…伊與宇和合別
  ⇒豐門入彥命…大田別
  ⇒五十狹城入彥命…三河長谷部直
  ⇒稚屋彥命
  ⇒●彥人大兄命
  ⇒武國皇別命…伊奧御城別 添御杖君
  ⇒●眞稚彥命
  ⇒天帶根命…目鯉部君
  ⇒大曾色別命
  ⇒五十河彥命…讚岐直…五十河別
  ⇒石社別命
  ⇒大稻背別命…御杖君
  ⇒武押別命
  ⇒●豐門別命…三島水間君 奄智首 壯子首 粟首 筑紫火別君
  ⇒不知來入彥命
  ⇒曾能目別命
  ⇒十市入彥命
  ⇒襲小橋別命…兔田小橋別
  ⇒色己焦別命
  ⇒熊津彥命
  ⇒息前彥人大兄水城命…奄智白幣造
  ⇒熊忍津彥命…日向穴穗別
  ⇒●櫛見皇命…讚岐國造
  ⇒武弟別命…立知備別
  ⇒草木命…日向君
  ⇒●稚根子皇子命
  ⇒●兄彥命…大分穴穗御埼別 海部直 三野之宇泥須別 等
  ⇒宮道別命
  ⇒手事別命
  ⇒大我門別命
  ⇒三川宿禰命
  ⇒豐手別命
  ⇒倭宿禰命…三川大伴部直
  ⇒豐津彥命
  ⇒五百木根命
  ⇒弟別命…牟宜都君
  ⇒大焦別命
  ⇒五十功彥命…伊勢刑部君 三川三保君
  ⇒●櫛角別命…茨田連
  ⇒五百野姬皇女命…伊勢天照大神齋祠

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