→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2021.11.30] ■■■ [333]上巻所収歌9首検討 歌を並べると、今迄抱いて来たイメージとは随分と違っており、結構、鈍感だったことに気付いた。 これは、多分に、倭の最初の歌とも言える"八雲立つ"の印象に迷わされていることが大きい。要するに、歌の基本は長歌である。「萬葉集」にも収録されてはいるものの、ほとんどの歌は短歌であり、時代を経て、かなり様相が変化していることになろう。 ついでながら、57577の基本である、五と七は万葉集では基本形だが、以下で見る限りそのようなルールはもともとは存在していなかったことになろう。4〜8音で一塊の句を構成し、句の数には制限がなく、長歌とか短歌という考え方は無かった可能性が高かろう。 《上巻》…9首 <別天神・神世7代>〜<速須佐之男命高天原追放>なし <@出雲>…7首 祖 速須佐之男命 妻と宮を得て感極まれり(1首) その係累 大国主神/大穴牟遅神神/葦原色許男神/八千矛神/宇都志国玉神 越[高志]国の沼河比売を得る妻問い交歓(3首) 現地妻だらけで、正妻に弁解(2首) その子 高比売命/下光比売命(阿遅鋤高日子根神/迦毛大神の妹) 暗殺された夫の葬式が兄に潰されたが兄を崇拝(1首) <天照大御神>なし <正勝吾勝勝速日天忍穗耳>なし <天邇岐志国邇岐志天津日高日番能邇邇藝命>なし <火遠理命/天津日高日子穂々手見命/山佐知毘古/虚空津日高> +<豊玉毘売命[八尋和邇]>…2首 出産を覗き見て離婚すれども互いに愛を確認 --- [__1]【速須佐之男命】作御歌大神初作須賀宮之時 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を [__2]【八千矛神(大国主命)】婚高志國之沼河比賣幸行之時 [__3] ├【沼河日売】未開戸(婚姻拒絶) [__4] └【〃】婚姻承諾 八千矛の 神の命は 八洲国 妻求ぎかねて 遠遠し 高志の国に 賢し女を 有りと聞かして 美し女を 有りと聞こして さ婚ひに あり立たし 婚ひに ありか呼ばせ 太刀が緒も 未だ解かずて 襲をも 未だ解かねば 乙女の寝すや 板戸を 押そぶらひ 吾が立たせれば 引こづらひ 吾が立たせれば 青山に 鵺は鳴きぬ 狭野つ鳥 雉子は響む 庭つ鳥 鶏は鳴く うれたくも 鳴くなる鳥か この鳥も 打ち止めこせね いしたふや 天馳せ遣ひ 事の語り 外面此をば ↓ 八千矛の 神の命 萎草の 女にしあれば 吾が心 浦洲の鳥ぞ 今こそば 吾鳥にあらめ 後は 汝鳥にあらむを 命は な殺せ給ひそ いしたふや 天馳せ使ひ 事の語り言も 此をば ↓ 青山に 日が隠らば 射干玉の 夜は出でなむ 朝日の 笑み栄え来て 栲綱の 白き腕 沫雪の 若やる胸を 素手抱き 手抱きまながり 真玉手玉手 差し枕き 股長に 寝は寝さむを 奇に 汝恋ひしきし 八千矛の 神の命 事の語り言も 此をば [__5]【大国主命】嫡后の嫉妬の抑制 [__6] └【須勢理毘賣命】~語契り再確認 射干玉の 黒き御衣を 真具さに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此れは相応はず 辺つ波磯に 脱ぎ棄て 鴗鳥の 青き御衣を 真具さに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此も相応はず 辺つ波磯に 脱ぎ棄て 山県に蒔きし あたね突き 染め木が汁に 染め衣を 真具さに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此し宜し 愛子やの 妹の命 群鳥の 吾が群往なば 引け鳥の 吾が引け往なば 泣かじとは 汝は言ふとも 倭の 一本薄 頂傾し 汝が泣かさまく 朝雨野霧に立たむぞ 若草の 妻の命 言の語り事も 此をば ↓(直連結) 八千矛の 神の命や 吾が大国主 汝こそは 男に坐せば 打ち見る嶋の 先や来掻き廻る 磯の埼落ちず 若草の 妻持たせらめ 吾はもよ 女にしあれば 汝招きて 男は為し 汝招きて 妻は為し 綾垣の ふはやが下に 苧衾 柔やが下に 栲衾 さやぐ下に 沫雪の 若やる胸を 栲綱の 白き腕 素手抱き 手抱きまながり 真玉手玉手 差し枕き 股長に 寝を為寝させ 豊御酒 奉らせ ↓ 如此歌 即 うきゆい うながけりて 鎮座 今に至る。 [__7]【伊呂妹 高比賣】夷振阿治志貴高日子根~者忿而飛去之時 天なるや 弟織機の 項がける 珠の御統 御統に あな珠はや 御谷 二渡らす 味耜高彦根の神ぞや [__8]【豊玉比売】獻歌 via 弟 玉依毘賣山幸彦への愛 [__9] └【比古遲】答歌妃への愛 赤瓊は 緒さへ光れど 白瓊の 君が装ひし 尊く有りけり ↓ 沖津鳥 鴨著く島に 我が率寝し 妹は忘れじ 世の事々に (C) 2021 RandDManagement.com →HOME |