→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2022.4.6] ■■■ [460]火神遺骸から生まれた神の名は その一つが、火神遺骸から生まれた8神の名。様々な解釈があるのだろうが、素人的にそれなりによさげなら、どうせわからないからそれでOKとなる箇所であるが、そうはいかなくなってくる。 ということで、どんなところにひっかかるのか、わかり易いように、適当な読み方をお示しすることにした。 火之 , 火之 or 火之 まさか山津見神@頭・・・山頂の代表神 ≪正≫…正真正銘 [仮名]−[訓]ただ-しい ただ-す まさ-に ≪鹿≫…雄有角⇒政治的力 [仮名]か[訓]しか か しし おど山津見神@胸・・・恟(懼:幽妖)的山の神 ≪淤≫…泥沙 [仮名]お[訓]どろ ≪縢≫…纏束封閉 [仮名]ど乙[訓]かが-る 淤は仮名表示の於の代替文字だが、縢はそういうことで使われている訳ではない。音素表記にしては、矢鱈に難しい文字であり、筆記が面倒でもこの文字を選ぶのだから、字義を重視しているのは間違いあるまい。ただ、"おど"自体は訓ということになるから漢字翻訳するなら"恟"しかあるまい。道教的な、山に巣くう魑魅への懼れの表現である。いかにも太安万侶的な見立て。 おく山津見神@腹・・・深山の神 ≪奥≫…精深不易理解 [仮名]く[訓]おく 日常用語的に解釈してしまうが、理解を越えた神も居ることを意味しよう。 くら山津見神@陰・・・山谷の神 ≪闇≫…暗 [仮名]−[訓]やみ くら-い "くら"とは同意義語の訓の転用では。ここは"やみ"と読む方が筋が通っているかも。 しぎ山津見神@左手・・・山林繁茂地の神 ≪志≫……意志 [仮名]し[訓]こころざし[音]シ ≪藝[=蓺[=埶+艸]+云]≫…種植(樹木) [仮名]−[訓]う-える のり わざ[音]ゲ "しぎ"と読む理由が思いつかない。音を用いた表記なら"シゲ"になる。訓での意味は"繁る"と考えるのが自然だろう。字義そのものからすれば、神の意志で樹木が生えるということになるのだから。 は山津見神@右手・・・山端の神 ≪羽≫…翼(鳥類) [仮名]は[訓]は はね これは鳥信仰に関係することでの、訓音とは限らず、仮名文字扱いでは。漢字翻訳すれば"端"ということに。 はら山津見神@左足・・・山麓の神 ≪原≫…源 (水) [仮名]−(「万葉集」ふ)[訓]はら 特段の指定がないのだから、野原や海原と同様に、神の地である"原"ということになるが、山原という概念は地勢的にしっくりこない。山麓ということに名ryのだろうが、字源的には水がからんでいるから、そこらのイメージが被さっていそうにも思える。 と山津見神@右足・・・入山口の神 ≪戸≫…啓蟄蟲・始出 (虫・獣) [仮名]と乙[訓]と へ え 気軽に、山域との境界と考えてしまうが、この文字はあくまでも仮名だろうから、そこらを考慮する必要があろう。山域の地勢的な領域区分の名称になってはいるが、そこにはそれぞれ「山海経」的な信仰が宿ることになる。要するに、後半4神は、音素表記文字であり、太安万侶はその神名の意味を漢字で示唆していることになる。順に、(樹木)(鳥類)(水)(虫・獣)となっている訳だ。 (C) 2022 RandDManagement.com →HOME |