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■■■ 「古事記」解釈 [2022.4.10] ■■■
[464]漢字読みの視点について
漢字読みの話が続いているので、なんだかナ、と感じられる方もおられよう。
その辺りにからめて、どうして関心を持ったのか、わかりやすい例をあげておこう。

[]を"ハ"と読ませる書がある。

素人なら、すぐに、そんな馬鹿なと言うに違いないが、「古事記」を読む場合にはそうはいかないのである。
もちろん、常識的な読み方の<ぐ>を避けるということでは無い。・・・
 詔然者吾與汝行廻逢是天之御柱 而 爲"美斗能麻波比"
 火之迦具土神火之"迦
"土神

上記は説明されなくても、<ぐ>と呼んでしまう。
ところが、場合によっては、<は>と読んでもよい、ということ。(グは呉音。音訓上で当該発音につながることは考えにくい。)

奇異に感じるだろうが、一般的には、「記紀」読み必須とされているので、信用できそうな本では、そうなっていると見てよいだろう。

ここまで、回りくどかったが、「古事記」記載の"阿知能"三腹郎女は、国史収載の淡路御原皇女(応神天皇と皇后仲姫の妹 弟姫の間にできた皇女で異母兄 根鳥皇子の妃)と同一なので読みを統一すればそうなる、ということ。

そうなれば、"あちのみはら(の)いらつめ"とみなすしかなく、[]とルビを振ることになる。
素人からすれば、単に、音素文字である波⇒具の誤記載と断定したことになろう。しかしながら、いくらなんでも、そのような判定は難しかろう。そんな間違いがある書なら、いくら検討したところで時間の無駄以上ではなかろうとの指摘にこたえられなくなってしまうからだ。
(このような誤まりが、草稿段階から筆写までで、生まれることは考えにくいし、”あぐち”なる地名が存在しているとも思えないからである。)

小生は、ここには注が絶対的に必要と考える。"これは意図的な誤記の可能性が高い。ドラフトは波ではなく、愚であろう。"と。

要するに、朝廷内では、淡路國の"みはら"地区(の)郎女とされているものの、太安万侶の見立てでは当該地は別な所領であるということ。・・・くだらぬ想定に映ると思うが、ココは政治的に重要な意味を持っている。
淡路国三原郡阿麻郷は、紀伊から四国へ入るルートを治める上で枢要な地だからだ。鳴門海峡を差配できるほどの航海力を有する強力な海軍を擁していると書いた方が単刀直入かも。
そこの王に誰が就いているかは、特に、この天皇代であればつまらぬことで片付く問題ではない。

大和の内陸的な直系を誇る中央勢力を、海外出征後瀬戸海から東征してきた傍系的海軍基盤の勢力によって制圧されたばかりのことだからだ。
淡路島南部はおそらく古くからの黒潮南島系海人の地で、北部は船魂信仰の海人勢力と想定される。太安万侶はその辺りで齟齬を見つけたのではあるまいか。

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