■■■ 「古事記」解釈 [2022.4.17] ■■■
[471]"斯路具漏"表記は今一歩
"ロ/ろ"は"呂"から作られた仮名だが、この音は侶と共に乙類。甲類は、漏 路 廬。"ロ/ろ"音の使用頻度は比較的低いと思うが、古来の色彩感覚を示す基本語彙に使われるから、どの文字を当てるか、考慮を重ねたに違いないと思う。
明/
"白"という文字は、上記のような色彩感覚用語より、"もう-す"と云う"曰く"と同類用語として多用しているから、下手に登用するとえらく紛らわしくなる。従って、"しろ"は音素表現にしたい筈。
結局、上巻では"路"としたものの、それ以外は"漏"と決めたように見える。・・・
≪路[𧾷+各[夂+口]]≫
【字義】道
[呉音]ル
[漢音]ロ
[訓]じ みち
＜みち＞
即造无間勝間之小船 載其船以教曰:「我押流其船者 差暫往 將有味御路 乃乘其道往者・・・」
・・・路は神の渡来ルート、道は王の凱旋を意味しているのかも。
＜音素"ロ"＞
[__4] └【〃】婚姻承諾
青山に 日が隠らば 射干玉の 夜は出でなむ
朝日の 笑み栄え来て 栲綱の 白き腕[斯路岐多陀牟岐]・・・
[__5]【大国主命】嫡后の嫉妬の抑制
射干玉の 黒き御衣を[久路岐美祁斯遠] 真具さに 取り装ひ・・・
[__6]【須勢理毘賣命】神語契り再確認
・・・ 沫雪の 若やる胸を 栲綱の 白き腕[斯路岐多陀牟岐]・・・
≪漏[氵+屚[尸+雨]]≫
【字義】受水壷(㠯銅)
[呉音]ル ロ
[漢音]ロウ
[訓]も-る、も-れる、も-らす
＜漏らす＞
息長帶日賣命・・・御子載其喪船 先令言漏之御子既崩
於國中烟不發 國皆貧窮 故自今至三年 悉除人民之課役 是以大殿破壞 悉雖雨漏 都勿修理以椷受其漏雨 遷避于不漏處
＜名称＞
--"麻都漏波奴"人
又此之御世 大毘古命者 遣高志道 其子建沼河別命者 遣東方十二道 而 令 和平其"麻都漏波奴"人等
--訶具漏比賣
名"須賣伊呂"大中日子王之女 訶具漏比賣
娶淡海之柴野入杵之女 柴野比賣生子 迦具漏比賣命 故大帶日子天皇 娶此 迦具漏比賣命
又娶迦具漏比賣
＜音素"ロ"＞
[_43]【天皇】矢河枝比売を迎えた大御饗酒宴での喜びの発露
・・・ 初土は 膚赤らけみ 底土は に黒き故[邇具漏岐由惠] 三栗の その中つ土・・・
[_53]【天皇】皇后を恐れ帰郷した妃への恋慕
沖辺には 小舟連ららく 黒ざやの[久漏邪夜能] まさつこ我妹 国へ下らす
[_62]【天皇】家出皇后に元の鞘に収まって欲しい、と
つぎねふ 山代女の 木鍬持ち 打ちし大根 根白の[泥士漏能] 白腕[斯漏多陀牟岐] 枕かずけばこそ 知らずとも云はめ
[_77]【天皇】なんとか助かったことがわかった時
埴生坂 吾が立ち見れば 陽炎の[迦藝漏肥能] 燃ゆる家群 妻が家の辺り
[_97]【天皇】吉野行幸時の蜻蛉島寿ぎ
三吉野(みえしの)の 小室岳(をむろがたけ)に[袁牟漏賀多氣爾] 鹿猪(しし)伏すと・・・ 胡坐(あぐら)に坐(いま)し 白妙(しろたへ)の[斯漏多閇能] 袖着(き)装束(そな)ふ
「万葉集」で＜
【白】白妙能[巻一#28] 白妙乃[巻二#199] 白妙之[巻二#210] 白栲[巻二#213] 白妙之[巻二#230] 白栲[巻四#443] 白細之[巻四#460] 白細尓[巻四#475] 白栲尓[巻四#478] 白細之・白妙之[巻四#481] 白細乃[巻四#510] 白細之[巻四#614] 白細乃[巻四#645] 白細之[巻四#708] 白妙之[巻六#957] 白妙乃[巻七#1079] 白栲尓[巻七#1192] 白栲[巻七#1292] 白細乃[巻八#1629] 白栲之[巻九#1675] 白細乃[巻九#1800] (翼)(白妙尓)[巻十#1840] 白妙丹[巻十#1859] 白栲[巻十#2023] (織)(白布)[巻十#2027] 白栲(衣)[巻十#2028] 白細(衣)[巻十#2092] 白妙之[巻十#2321] 白細(衣)[巻十一#2411] 白細布乃[巻十一#2518] 白細乃[巻十一#2608] 白細乃[巻十一#2609] 白細布乃[巻十一#2612] 白細布乃[巻十一#2690] 白細乃[巻十一#2807] 白細布乃[巻十一#2812] 白細布[巻十二#2846] 白細布[巻十二#2854] 白細布之[巻十二#2937] 白細布之[巻十二#2952] 白妙[巻十二#2953] 白妙之[巻十二#2954] 白細之[巻十二#2962] 白細之[巻十二#2963] 白細之[巻十二#3044+] 白細[巻十二#3123] 白細之[巻十二#3181] 白妙之[巻十二#3182] 白妙之[巻十二#3215] 白栲乃[巻十二#3243] 白木綿之[巻十二#3258] 白桍乃[巻十三#3274] 白桍[巻十三#3324] 白桍[巻十三#3325]
【○路】之路多倍乃[巻五#804] 志路多倍乃[巻五#904] 思路多倍乃[巻十四#3449] 之路多倍能[巻十五#3607] 之路多倍乃[巻十五#3625] 之路多倍乃[巻十五#3778] 思路多倍乃[巻十七#3945] 之路多倍乃[巻十七#3973] 之路多倍能[巻十七#3993] 之路多倍尓[巻十七#4003] 之路多倍能[巻十八#4111] 之路多倍能[巻二十#4331] 之路多倍能[巻二十#4408]
【○漏】思漏多倍乃[巻十五#3725]
【○呂】之呂多倍能[巻十五#3751]
≪盧[虍+田+皿]≫
【字義】飯器
[呉音]ル
[漢音]ロ リョ
[訓]めしびつ すびつ くろ-い
【宮名】黒田廬戸宮 檜埛之廬入野宮
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