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■■■ 「古事記」解釈 [2022.4.24] ■■■
[478]富と菩は音仮名ホ
計仁波保けにはほが平仮名になると似た文字になるが、よく判別できたものと感心する。この最後の平仮名"ほ"と片仮名"ホ"(木:保の終画)が同一漢字"保[人/亻+呆呆]"由来というのにも、両者の形状の違いがあり過ぎで驚かされる。
保は、「万葉集」でもホとしては圧倒的使用頻度で、おそらく朝廷でも日常的に極めて多用される文字だったのだろう。

ところが、「古事記」では用いられていない。たまたまなのだろうが、ホの音が僅少という訳ではない。
その辺りを見ておきたい。

上巻の神名中心に眺めると以下の如し。はたして、この読みでよいのか判断できるだけ力はないが。・・・

<国産み> (大八嶋國)
【1】淡道之之狭別アワヂノホノサワケ
【2】ホノイカヅチ[胸]
<脱出四柱>
【2】加牟豆美オホカムヅミ命[桃]
八百ヤホヨロズ神 五百引石イホビキノイハ
山田之曾ヤマダノソホド[案山子]
<誓約> (勾玉 五柱)
【2】天之アメノホヒ
<大年系>
【3】ソホリ
<国譲>
 (天之卑命)[再登場]
<降臨>
【1】天邇岐志アメニキシ国邇岐志クニニキシ天津日高日アマツヒコヒコ能邇邇藝ホノニニギ
【2】アマノホアカリ
<海彦山彦>
【6】ホデリ命/海佐知毘古
【7】須勢理ホスセリ
【8】遠理ホヲリ命/天津日高日子アマツヒコヒコ穂々手見ホホデミ命/山佐知毘古

高千たかちほ

・・・火は本来的音素はヒだが、すでに見たようにビと濁音化もする。さらには、ここではホとも。炎のホなのだろうが、同じく真正のホである穂と混ぜこぜにして使っているように映る。さらに、これを番で代替表記も可能としているようにも見える。

そのような、意味を含む文字ではなく、純音素文字としては、富が用いられていそう。
さらに特別な場合、菩を用いている。ほとんど日常的に使うことがなかった文字のせいか、「万葉集」にはこの文字は使われていない。
≪菩[[艸+咅]
 【語源】梵語仏典翻訳語
  [呉音]バイ ブ ボク
  [漢音]ハイ フウ ホ ホク
  [慣用音] ぼ ほとけぐさ

中巻でも用いられているが、ホであって、ボではない。・・・

[歌40]【神功皇后】天皇勝利凱旋の酒宴
    此の御酒[美岐]は 吾が御酒ならず
    御酒(奇[久志])の司[加美] 常世に坐す 石立たす 少名御神[須久那美迦微]の
    
神祝き[加牟岐]
    寿き狂ほし[本岐玖琉本斯] 豊寿き[登余本岐] 寿き廻ほし[本岐母登本斯]
    奉り来し御酒そ[麻都理許斯美岐叙]
    浅ず飲せ ささ(囃子)


もちろん、上記でも、これ以外にホと読む文字はある。すでに取り上げたが。
  ○-ほ
さらに、おほ/太という読みがあるので、ホ音だけ残して読むことも可能らしい。
  出雲之御大みほ之御前…美保
ただ、「万葉集」には高千穂は登場せず、多可知保という音素表記が1ヶ所あるだけ。
  見穂之浦 美保乃浦 三穂乃浦

中下巻の洗い出しはしていないが、気付いたところだけ記載しておこう。・・・
  間人アナホべ
  牟都ホムツ和気命(伊久米伊理毘古伊佐知命@師木玉垣宮 皇子)

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