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■■■ 「古事記」解釈 [2022.4.25] ■■■
[479]"他"山石可以攻玉
「古事記」訳の漢字仮名読みは、素人からみると当時の音を推定したくて書いているのか、標準的な古文読みにあわせたいのか、よくわからないところがあり頭が混乱してしまう。

何の資料もないから無理もないことだが、それを前提にして、仮名としての漢字を眺める必要があろう。そこらを曖昧にしていると、なにをしているのかわからなくなりそう。

と云うことで、一般的な文字を例に、眺めてみることにした。・・・

≪他[人/亻+也]
 【語源】元字は佗[=蛇]⇒男女及一切事物⇒第三者(別)
  [音]
  [訓]ほか
音素表示文字なら"タ"と読むことになるし、そうでなければ、訓の"ほか"の翻訳文字と解釈すべき、と思うのだが。
しかし、一般的には、そうなってはいない。浅学なので、その理由は知らない。・・・

【上巻】
🆖且其天尾羽張神者 逆塞上天安河之水而 塞道居
  故 あたしかみ不得行・・・

🆖建御名方神白:「恐 莫殺我 除此地者 不行よそ

【中巻】
🆗即己自婚其二孃子 更求ほかの女人 詐名其孃女 而
  貢上 於是天皇 知其ほかの嬢

【下巻】
🆗御陵在沙紀之那美たたなみ

[_67]【仁徳天皇】異母妹 女鳥王に求愛
    女鳥の 吾が大王の 織ろす機 誰が料ろかも
🆗賣杼理能 和賀意富岐美能 淤呂須波多 たが多泥呂迦母

🆖其伊呂兄意意祁命奏言:
  破壞是御陵 不可遣ひと 專僕自行
  …是の御陵を破壞に 他人を遣す不可

🆖沼名倉太玉敷命坐田宮をさたのみや

情緒感は乏しくなるが、単純に記載すればよいのでは、・・・。
あたしかみほかのかみ
よそほかのところ
ひとほかのひと
田宮をさたのみや田宮たたのみや

しかしながら、これは古語に無知な素人の見方でしかないことが、「万葉集」の読みからわかるのである。・・・
只、現代語の"他国"という意味で、"ひとくに"と云う訓を文字表記する方法としては、音素文字を並べた"比等久尓"を用いることもできる。
[巻一#3] 暮猟尓 今他田渚良之…朝猟に 今立たすらし<た>
[巻四#538] 他辞乎 繁言痛…人言を 繁み言痛<ひと>
[巻四#748] 人目他言 辞痛吾将為…人目人言 言痛み我がせむ<ひと>
[巻五#794] 年月母 伊摩他阿良祢婆…年月も いまだあらねば<だ>
[巻五#885] 既夜須伎我身 比等國尓…消やすき 我が身他国に<ひと>
[巻七#1256] 君尓将相登 他廻来毛…君に逢はむと た廻り来も<た>
[巻九#1759] 他妻尓 吾毛交牟 吾妻尓 他毛言問
     …人妻に 我も交らむ 我が妻に 人も言問へ<ひと><ひ>
[巻十#1947] 霍公鳥 他時従者…霍公鳥 他時ゆは<あだし>
[巻十一#2563] 他眼守 君之随尓…人目守る 君がまにまに<ひと>
[巻十二#2886] 他言者 真言痛…人言は まこと言痛く<ひと>
[巻十二#2906] 他國尓 結婚尓行而…他国に よばひに行きて<ひと>
[巻十五#3748] 比等久尓波…ひとくには
[巻十五#3749] 比等久尓々…ひとくには
[巻二十#4384] 己枳尓之布祢乃 他都枳之良須母…漕ぎ去し船の たづき知らずも<た>
[巻二十#4387] 阿夜尓加奈之美 於枳弖他加枳奴…あやに愛しみ 置きて誰が来ぬ<た>
[巻二十#4389] 尓波志久母 於不世他麻保加…にはしくも 負ふせたまほか<た>
[巻二十#4390] 牟浪他麻乃 久留尓久枳作之…群玉の 枢にくぎさし<た>
[巻二十#4394] 美己等加之古美 由美乃美他…命畏み 弓の共<た>

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