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■■■ 「古事記」解釈 [2022.9.22] ■■■
[629][付録]「萬葉集」の稲関連歌
「萬葉集」所収歌をみれば、粟には関心が薄く、水稲に対する思い入れが深いことが一目瞭然。どのような歌があるのか、ザッと眺めてみたくなった。・・・
尚、「百人一首」冒頭の天智天皇御製の出典は「後撰集」秋中#302だが、内容的には「萬葉集」巻十#2174を踏襲したもの。
  秋の田の 仮庵の庵の 苫を粗み 吾が衣手は 露に濡れつつ

但し、理屈からすれば、新嘗とか、単なる田の場合は、作物は粟であっても通用するので、以下全ての歌が稲に関係していると断定することはできない。

【新嘗】
[巻十四#3460]誰れぞこの屋の戸押そぶる新嘗に我が背を遣りて斎ふこの戸を
【黒酒白酒】
[巻十九#4275]天地と久しきまでに万代に仕へまつらむ黒酒白酒を
【早稲】
[巻七#1353]石上布留の早稲田を秀でずとも縄だに延へよ守りつつ居らむ
[巻八#1566]久方の雨間も置かず雲隠り鳴きぞ行くなる早稲田雁がね
[巻八#1624]我が蒔ける早稲田の穂立作りたるかづらぞ見つつ偲はせ我が背
[巻八#1625]我妹子が業と作れる秋の田の早稲穂のかづら見れど飽かぬかも
[巻九#1768]石上布留の早稲田の穂には出でず心のうちに恋ふるこのころ
[巻十#2117]娘女らに行相の早稲を刈る時になりにけらしも萩の花咲く
[巻十#2220]さを鹿の妻呼ぶ山の岡辺なる早稲田は刈らじ霜は降るとも
[巻十#2251]橘を守部の里の門田早稲刈る時過ぎぬ来じとすらしも
[巻十四#3386]にほ鳥の葛飾早稲をにへすともその愛しきを外に立てめやも
【稲】
[巻十#2022]相見らく飽き足らねどもいなのめの[稲目]明けさりにけり舟出せむ妻
[巻十#2230]恋ひつつも稲葉かき別け家居れば乏しくもあらず秋の夕風
[巻十一#2643]玉桙の道行き疲れ稲席しきても君を見むよしもがも
[巻十四#3459]稲つけばかかる我が手を今夜もか殿の若子が取りて嘆かむ
[巻十四#3550]おしていなと稲は搗かねど波の穂のいたぶらしもよ昨夜ひとり寝て
[巻十六#3848]あらき田の鹿猪田の稲を倉に上げてあなひねひねし我が恋ふらくは
【秋の田の】【秋田の】
[巻二#088]秋の田の穂の上に霧らふ朝霞いつへの方に我が恋やまむ
[巻二#114]秋の田の穂向きの寄れる片寄りに君に寄りなな言痛くありとも
[巻四#512]秋の田の穂田の刈りばかか寄りあはばそこもか人の我を言成さむ
[巻八#1539]秋の田の穂田を雁がね暗けくに夜のほどろにも鳴き渡るかも
[巻八#1567]雲隠り鳴くなる雁の行きて居む秋田の穂立繁くし思ほゆ
[巻八#1625]我妹子が業と作れる秋の田の早稲穂のかづら見れど飽かぬかも
[巻十#2133]秋の田の我が刈りばかの過ぎぬれば雁が音聞こゆ冬かたまけて
[巻十#2246]秋の田の穂の上に置ける白露の消ぬべくも我は思ほゆるかも
[巻十#2247]秋の田の穂向きの寄れる片寄りに我れは物思ふつれなきものを
[巻十七#3943]秋の田の穂向き見がてり我が背子がふさ手折り来るをみなへしかも
【秋田刈る】
[巻八#1556]秋田刈る仮廬もいまだ壊たねば雁が音寒し霜も置きぬがに
[巻九#1758]筑波嶺の裾廻の田居に秋田刈る妹がり遣らむ黄葉手折らな
[巻十#2100]秋田刈る仮廬の宿りにほふまで咲ける秋萩見れど飽かぬかも
[巻十#2174]秋田刈る仮廬を作り我が居れば衣手寒く露ぞ置きにける
[巻十#2176]秋田刈る苫手動くなり白露し置く穂田なしと告げに来ぬらし
[巻十#2235]秋田刈る旅の廬りにしぐれ降り我が袖濡れぬ干す人なしに
[巻十#2248]秋田刈る仮廬を作り廬りしてあるらむ君を見むよしもがも
[巻十#2250]春霞たなびく田居に廬つきて秋田刈るまで思はしむらく
【詠水田 三首】
[巻十#2219] 山田
[巻十#2220] 早稲
[巻十#2221]我が門に守る田を見れば佐保の内の秋萩すすき思ほゆるかも
【寄水田 八首】
[巻十#2244]住吉の岸を田に墾り蒔きし稲かくて刈るまで逢はぬ君かも
[巻十#2245]太刀の後玉纒田居にいつまでか妹を相見ず家恋ひ居らむ
[巻十#2246] 秋の田の
[巻十#2247] 秋の田の
[巻十#2248] 秋田刈る
[巻十#2249]鶴が音の聞こゆる田居に廬りして我れ旅なりと妹に告げこそ
[巻十#2250] 秋田刈る
[巻十#2251] 早稲
【山田】
[巻四#776]言出しは誰が言にあるか小山田の苗代水の中淀にして
[巻十#1839]君がため山田の沢にゑぐ摘むと雪消の水に裳の裾濡れぬ
[巻十#2156]あしひきの山の常蔭に鳴く鹿の声聞かすやも山田守らす子
[巻十#2219]あしひきの山田作る子秀でずとも縄だに延へよ守ると知るがね
[巻十一#2649]あしひきの山田守る翁が置く鹿火の下焦れのみ我が恋ひ居らむ
[巻十二#3000]魂合へば相寝るものを小山田の鹿猪田守るごと母し守らすも
[巻十三#3276]百足らず山田の道を波雲の・・・
[巻十四#3492]小山田の池の堤にさす柳成りも成らずも汝と二人はも
[巻十七#4014]松反りしひにてあれかもさ山田の翁がその日に求めあはずけむ
【湯種蒔】【種蒔】
[巻七#1110]ゆ種蒔くあらきの小田を求めむと足結ひ出で濡れぬこの川の瀬に
[巻十五#3603]青楊の枝伐り下ろしゆ種蒔きゆゆしき君に恋ひわたるかも
[巻十二#2999]水を多み上田に種蒔き稗を多み選らえし業ぞ我がひとり寝る
【苗代】【群苗】
[巻四#776] 山田
[巻十四#3576]苗代の小水葱が花を衣に摺りなるるまにまにあぜか愛しけ
[巻十四#3418]上つ毛野佐野田の苗のむら苗に事は定めつ今はいかにせも
【すゑし種】
[巻十五#3761]世の中の常のことわりかくさまになり来にけらしすゑし種から
【田植】
[巻十五#3746]人の植うる田は植ゑまさず今さらに国別れして我れはいかにせむ
【他:田】  (例えば、芹が詠まれるような田は除外した。)
[巻七#1275]住吉の小田を刈らす子奴かもなき奴あれど妹がみためと私田刈る
[巻七#1285]春日すら田に立ち疲る君は悲しも若草の妻なき君が田に立ち疲る
[巻八#1592]しかとあらぬ五百代小田を刈り乱り田廬に居れば都し思ほゆ
[巻八#1634]衣手に水渋付くまで植ゑし田を引板我が延へまもれる苦し
[巻八#1635]佐保川の水を堰き上げて植ゑし田を刈れる初飯はひとりなるべし
[巻十一#2476]打つ田には稗はしあまたありといへど選えし我れぞ夜をひとり寝る
[巻十三#3561]・・・神なびの清き御田屋の垣つ田の・・・
[巻十四#3223]金門田を荒垣ま斎み日が照れば雨を待とのす君をと待とも
[巻十六#3817]かるうすは田ぶせ(廬)の本に我が背子はにふぶに笑みて立ちませり見ゆ
[巻十八#4122]・雨降らず日の重なれば植ゑし田も蒔きし畑も朝ごとにしぼみ枯れゆく・
【臼】
[巻十六#3886]・・・韓臼に搗き庭に立つ手臼に搗き・・・
【穂】
[巻十#2256]秋の穂をしのに押しなべ置く露の消かもしなまし恋ひつつあらずは

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