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■■■ 「古事記」解釈 [2024.4.15] ■■■
[859]読み方[29]
「水鏡」の一瞥をお勧めしているのは、「古事記」に触れていると、それなりの気付きが得られるから。
その8つ目。・・・

仁コ天皇段は、その弟の東宮が兄に譲位し、即位を固辞したため、3年空位だった。このためか、東宮は自死。そこで即位した、と。それが、望ましい皇位継承形態といえるのかは不明だが、この段は褒め言葉で〆ているから態度は立派であるとの評価なのだろう。
しかし、次の天皇段では、第一の御子がすでに立太子しているにもかかわらず、父帝崩御後の空位期に、弟の住吉仲皇子が叛乱。そこで、末弟の瑞歯の皇子に殺害を命じることに。

ここらの経緯は「古事記」とは違うものの、後継たる同腹3皇子が皇位を争った訳だ。その直接的原因は「水鏡」では”魅力的"なK姬ということになるが。

ともあれ結着をみて、履中天皇は即位。K姬を皇后に。

そして淡路で大王の狩猟行事を行う。ところが、≪空に風の音に似て声する物≫があった上、皇后が亡くなったとの緊急の知らせが届く。

このことが、皇位継承にまつわるおどろおどろしい権力闘争を引き立たせている訳だ。一方の「古事記」では皇位争奪の権謀術数など当たり前と達観。その背景も想定できるように記述している。
このため、後継権力闘争を"軽やかに"しのいでこその天皇との風情に映る。その違いが際立っている。

「水鏡」を読むことで、憎悪や疑心の元は、そういうことだったのかと思わされる仕掛けであるとともに、一種の諦観を与えるように記述していると云えそう。

住吉仲皇子・・・兄の東宮が、后にしようとしていたK媛のもとへ兄のふりをして訪れ親密に。露見するや「東宮を傾け奉らむと謀りて、兵を起し」宮に火をつける。


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