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■■■ 「古事記」解釈 [2024.5.23] ■■■
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太安万侶[編纂]:「古事記」@8世紀(語り手:稗田阿礼)の後続は生まれなかったが、「水鏡」に大きな影響を与えたようだし、もう一つ忘れてならないのが、作者不詳:「平家物語」@13世紀にその気分が繋がっていそうな点。

この物語は、一般には平家 v.s. 源氏の軍記を題材にしているとされるが、実態は平家滅亡譚。その体裁は仏教の無常感を背景にした和漢混交文の読み本ではあるものの、語り手(琵琶法師)が聴かせることが一大特徴。(基本、目で文字を読めない人を対象としているのだろう。)
従って、ジャンルとしては芸能。しかし、単純なエンタテインメントではなく、現世への思いを残して死んでいった人々の靈の鎮魂歌曲になっている。見方を変えれば、極めて感傷的情緒が満ちている作品とも言える訳だが。

リズミカルな文体になっているが、それは漢文調文章に依存するところが多い。とはいえ、聴衆の感興を誘うのは、おそらく、語り手が作り出す"節"だろう。絶妙なテンポを感じさせ、拍に合わせた音の美しい響きこそが、その心髄だと思う。
どう考えても、粗筋本無用の世界であり、読んで味わいたいなら、原文でなければ。

「古事記」も同様に鑑賞すべき書と思うが、残念ながら難しい。


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