■■■ 「古事記」叙事的訓読  ■■■
㊥⓭若帶日子天皇
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7 若帶日子わかたらしひこ_(の)
7   天皇すめらみこと_
6    近淡海ちかあふみ(○)
5     志賀しが_たか_(の)
7      穴穗あなほ_みや_
5       ましまし_
5   あめ_した_(を)
7    をさめ_たまひ

7 _(の)天皇すめらみこと_(は)
4  穗積ほづみ_(○)
6    おみおや(○)
6     たけ忍山おしやま(○)
7      垂根たりねむすめ
4   _おと(○)
4     たから_(○)
5      郎女いらつめ_
5        め-あはせ_
7 あれまし御子みこ_
7   和訶奴氣わかぬけ_みこ

7 かれ たけ_うち_(の)
4     宿禰すくね(○○)_
5 大臣おほおみ_ … or おほ-まへつきみ(左右内大臣)
3     な-し_(○○)
4 定賜➰ おほくに(○)
4  ぐに(○)
7   くに_みやつこ_(を)
7     さだ-め・たま-ひ_
7 また 定賜くにぐに
6      さかひ および(○)
5   おほあがた
5    あがた
6     あがたぬし_(○)
7     さだ-め・たま-ひ 

7 すめらみこと_
7  御年みとし_(は)玖拾くそ_とせ
7     _あまりいつとせ
     【乙卯年三月十五日崩也】
5 御陵みささき_
5  沙紀さき
7   多他那美たたなみ_あり 

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○この天皇段に入って王・(大)臣・宿禰・國造・縣主がずらり。
前の天皇段で仰天させられるが、それを切っ掛けに組織的整備が進んで来たことがわかる仕掛け。

  ❾若倭根子日子大毘毘命の御子は男王四女王(一)。
  ❿御眞木入日子印惠命の御子は男王七女王五。
  ⓫伊久米伊理毘古伊佐知命の御子等は十六王。
  ⓬大帶日子淤斯呂和氣天皇の御子は八十王。

ついでながら、現代用語では<みこ>は皇子を当てるが、この状況ではその様な用法は採用されない。<みこ>は、あくまでも、<子>という一般概念に<御>をつけた語彙である。但し、<王子><太子>となると、熟語化して特別な意味がついているが。
要するに、<王>は単なる<皇族>の一員という語義でしかない。従って倭語読みとしてはみこが望ましかろう。
(尚、現代女性名"〜子"はおそらく可愛いという気分を付加するためのもの。「古事記」の後段の"赤猪-子"や時に目立つ"〜之子"という表現方法の踏襲ではあるまいか。)
しかし、あくまでも漢字なので、その本義たる称号で用いる場合も。そうなれば、別の読みにせざるをえない。
・・・(おほ)きみ[=(大)君]。こにしき[=くに_ぬし]。
と云うことで、この天皇段の記載の特徴は"〜命"記載が無いこと。このため、事務的文章の印象を与えるが、それを意図しているのかも。太安万侶流の倭語正式敬称はみこと1つと考えられるからでもある。
(この単語は、これ以外の語義でも用いられるので、他の読み方も併存するが、混同の恐れは無い。というか、その状況が敬称の意味をはっきりさせることにつながっている。)

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