「古事記」[袁祁王兄意冨祁王]

■■■　「古事記」叙事的訓読　■■■

㊦㉔ [袁祁王兄]意冨祁王
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₅ 袁祁をけ＿の王みこ
₅ 　　　＿の兄いろせ＿の
₇ 　　　　　意冨祁おほけ＿の王みこ＿は
₅ 　坐→➰石いそ＿の上かみ＿(の)
₇ 　　　廣高ひろたか＿(の)宮みや＿に
₅ 　　　　←ましまし＿て
₅ 　　治→➰天あめ＿の下した＿(を)
₇ 　　　←をさめ＿たまひ也き

₇ 天皇すめらみこと＿は
₅ 　娶→➰大長谷おほはつせ
₅ 　　若建わかたける
₇ 　　　天皇すめらみこと之の
₇ 　　　　御子みこ＿の春日かすか＿の
₇ 　　　　　大おほ郎女いらつめ＿を
₅ 　　　　　　　←め-あはせ＿て
₇ 生あれまし御子みこ＿は
₇ 　　　高木たかき＿(の)郎女いらつめ
₂ 　次つぎ＿(に)(○○○)
₇ 　　　財たから＿(の)郎女いらつめ
₂ 　次つぎ＿(に)
₇ 　　　久須毘くすひ＿(の)郎女いらつめ
₇ 　次つぎ＿に　手白髮たしらか＿(の)
₄ 　　　郎女いらつめ(○)
₂ 　次つぎ＿(に)(○○○)
₇ 　　　小長谷をはつせ＿の若わか
₇ 　　　　雀さざき＿の命みこと
₂ 　次つぎ＿(に)(○○○)
₅ 　　　眞若まわか＿(の)王みこ

₂ 又また(○○○)
₇ 娶→➰丸邇わに＿の日爪ひづめ＿の
₇ 　　臣おみ之の女むすめ＿の
₅ 　　　糠若子ぬかわくご＿(の)
₅ 　　　　郎女いらつめ＿を
₅ 　　　　　　　←め-あはせ＿て
₇ 生あれまし御子みこ＿は
₇ 　　春日かすが＿の小田をだ＿の
₄ 　　　郎女いらつめ(○)

₅ 此こ＿の　天すめら
₇ 　　　　皇みこと之の御子みこ＿は
₇ 　　　　　　　　幷なみ七なな柱はしら
₅ 此こ之の中うち＿の
₇ 　小長谷をはつせ＿の若わか
₇ 　　雀さざき＿(の)命みこと者は
₅ 　　　治→➰天あめ＿の下した＿(を)
₇ 　　　　←をさめ＿たまひ也き

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○宮名と御子のみ記載段。すでに前段迄で、逃亡先から兄弟で呼び戻され、弟が即位し殺戮された父王を偲ぶ行為が行われているので、簡素と見れないこともないが、おそらくそうではなかろう。皇位継承権争奪が熾烈を極めている時代に、この兄弟だけは例外と判断できる根拠は無いからだ。このことは、この段は、弟から皇位を簒奪した可能性を示唆していると読むことも可能。
○意冨祁-王であって、通常の～命ではない。皇后春日大郎女は父を虐殺した天皇の皇女であり、敬称として不適とみなした可能性もあろう。

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