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■■■ 「古事記」解釈 [2022.11.6] ■■■
[歌鑑賞34]少女の床の辺に
【倭建命】辞世的草薙剣と美夜受比賣を思って
袁登賣能をとめの 登許能辨爾とこのへに 和賀淤岐斯わがおきし 都流岐能多知つるぎのたち 曾能多知波夜そのたちはや
㊄(4-5)-(5-6)-6

    此時御病甚急
    爾 御歌曰

少女の  乙女(と)の
床の辺に  (寝)床の辺に
我が置きし  我が置いた(ままにしたのは)
剣の太刀  剣型(両刃)太刀(腰帯長)だった
その太刀はや  その太刀(があればナ〜)

4首目が、最期の歌となる。

ここの太刀とはレガリアである草薙の大太刀ということになる。
もしもの時に使うようにとから倭比売から賜ったものであり、この太刀があれば、遭難しないで済んだのにと読めないではない。英雄たるもの、戦いありきだから、まだ余韻が残っている筈ということで。
しかし、レガリアは守り刀とは違い、王権を意味する御物。
王権を巡る歌というストーリー展開がなされていると考えるなら、死を目前にしてレガリアを傍らにしていないことの重大性に気付いたということになろう。美夜受比賣との婚姻は成ったものの、御子がいないから、この太刀は大和の我が家の息子に引き継がせるべきもの。美夜受比賣との愛に溺れ、ついそこらを怠ってしまったのである。

言うまでもないが、国史には収録されていない。

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