→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2022.11.11] ■■■ [歌鑑賞39]いざ吾君振熊が ㊅4-(5-7)-(5-7)-6 於是其忍熊王 與 伊佐比宿禰 共被追迫 乘船浮海 歌曰 もちろん、結末は自明。 即入海 共死也 いざ吾君 さあさあ 我が君 振熊が (敵の)フルクマ将軍から 痛手負はずは 痛手を負いたくもないし(我が軍も敗れ去ていることだから) 鳰鳥の カイツブリが棲む 淡海の湖に 琵琶湖の水中に 潜きせなわ 潜ってしまおう 皇后側の将軍 建振熊命は戦闘放棄とみせかけておいて、突然追撃に転じ、反乱側である皇子忍熊王とその配下の将軍伊佐比宿祢を追い詰め、ついに二人は琵琶湖で入水というシーンでの歌。 細かく見ると、冒頭の"いざ吾君"とあるので、将軍の方が似合う句だが、入水決断者は皇子の忍熊王しかあり得ない。 この歌の肝はカイツブリで、息長の鳥であるところがミソ。忍熊王の近しい鳥は、おそらく潜水などしない白鳥だろう。言うまでもないが、倭建命の御子が、崩御した天皇であり、その血を受け継ぐのは息長帯比売系ではなく、本来的には己であるという自負が示されていることになろう。 (C) 2022 RandDManagement.com →HOME |