→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2022.11.17] ■■■ [歌鑑賞45]水溜る依網の池の ㊈(5-7)-(6-7)-(5-7)-(7-7)-7 又 御歌曰 ともあれ、この歌で皇子は賜ることに。 如此歌 而 賜也 水溜る 水を溜めている 依網の池の 依網池(@堺 池内)で 堰杙人が 堰杙作業者が 差しける知らに (すでに水を止める堰杙)を打ち込んでいるのを知らずに 沼縄繰り 蓴菜を手繰り寄せて採り 延へけく知らに (既に手が)伸びていることを知らずに 我が心しぞ 吾が心は いやをこにして 気付かず愚かなことをして 今ぞ悔しき 今思うに 残念至極 わざわざ生産地を指定しているところから見て、絶品物と一般品の違いを知り尽くしていたことがわかる。美味と見なすほど味に違いはないが、ヌルヌル付着物の質量の違いははなはだしいものがあり、それこそが賞味上の決め手。そこらを知り尽くした歌人の作ということになる。 おそらく、この宴会に皆期待の逸品として、酢味噌和えで供されるのだろう。 そこですかさず、一首。 言葉の調子から見て、知られていた類似の労働歌を使って、皇子への婚礼歌として一声を掛けたということになろう。この雰囲気から見て、皇子とはツーカーであり、重宝して使っていそう。皇子もそれに応えることができる相当な力量があったと見てよさそう。 表面的には、皇子 大雀命が、天皇が召した美しいと評判のお嬢さんに横恋慕して、腹心として抱えられている建内宿禰にどうにかならないかと頼んだ訳だ。おそらく、即座にOKでは。もともとお膳立てさせられたかに映る日向からのお輿入れであり、雅の文化とは縁遠そうだからだ。 しかし、当然のことながら、そんな本心を表に出すような愚か者ではない。 まことに残念だが、皇子とすでに恋仲のようで、皆で婚姻を祝福しようではないか、と宴席で祝辞を述べたのである。 (C) 2022 RandDManagement.com →HOME |