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■■■ 「古事記」解釈 [2022.11.2] ■■■
[歌鑑賞60]山代にい及け鳥山
【天皇】志都歌之歌返家出皇后を追いかける使者を派遣
夜麻斯呂邇やましろに  伊斯祁登理夜麻いしけとりやま 伊斯祁伊斯祁いしけいしけ 阿賀波斯豆麻邇あかはしづまに 伊斯岐阿波牟加母いしきあはむかも
㊄(5-7)-(6-7)-8

    天皇 聞看其大后 自山代上幸 而
    使舍人 名謂鳥山人
    送御歌曰

山代に  山城国で
い及け鳥山  追い付け (舎人の)鳥山よ
い及けい及け  追い付け 追い付け
吾が愛し妻に  吾の愛しい妻に
い及き遇はむかも  追い付いて遇って欲しいのだ

鳥を伝達役にするという古代からの習わしを守って、名前が"トリヤマ"の御側ご用人に歌飛脚として遣っただけの話だが、リズム感があり見事である。
何といってもこの歌が愉快なのは、"ホラ行けヤレ行け"という飛脚をせかす掛け声歌を収録しているだけで、肝心の、便の内容である説得材料の歌には全く触れていない点。
まさか、この歌を伝える訳ではないだろうから。

秀逸なのは、"山代"にえらくご執心な点で、これが緊迫感を煽っている。山代から先の、大和、終着の葛城と、奥へ行ってしまうと修復不可能と感じさせるせい。

【注】波之伎都麻良波=愛しき妻らは[「萬葉集」巻二十#4331]

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