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■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.3] ■■■
[歌鑑賞61]三諸のその高城なる
【天皇】志都歌之歌返家出皇后を気遣う
美母呂能みもろの 曾能多迦紀那流そのたかきなる 意富韋古賀波良をふゐこかはら 意富韋古賀をふゐこか 波良邇阿流はらにあれ 岐毛牟加布きもむかふ 許許呂袁陀邇迦こころをたにか 阿比淤母波受阿良牟あひをもはずあらむ
㊇(4-7)-(7-5)-(5-5)-(7-9)

    又續遣 丸邇臣口子 而
    歌曰

三御の  御諸山の
その高城なる  その山麓高台にある
大猪子が原  大猪子の原に
大猪子が  (その地名通りの)大猪の
腹にある  (原こと)腹(の中)にある
肝向かふ  肝[内臓]が分別されてしまって
心をだにか  心が止まるかに想い
相思はず有らむ  相思(相愛)であることを思わずにいられぬ

前歌では、送った歌について触れないので、当然ながら次はそのものズバリが収載されることになる。
伝えたい歌の詠み人としてはトリヤマは不適と見え、丸邇臣口子が後から派遣される。"口子"という名前は口頭伝達者であるかのような雰囲気を漂わせているから、役割分担があるのだろう。

と言っても、残念ながらトリヤマが追いつけず、大和に足を入れる寸前であることがこの歌でわかる。それに合わせた歌を追加したということか。

ともあれ、この歌を伝えることができたのである。

【注】別れし来れば 肝向ふ 心を痛み 思ひつつ[「萬葉集」巻二#135]

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