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■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.18] ■■■
[歌鑑賞76]丹比野に寝むと知りせば
【天皇】宮焼き討ちで焼殺寸前
多遲比怒邇たじひのに 泥牟登斯理勢婆ねむとしりせば 多都碁母母たつごもも 母知弖許麻志母能もちてこましもの 泥牟登斯理勢婆ねむとしりせば
㊄(5-7)-(5-8)-7

    爾 天皇歌曰
丹比野に  丹比野で
寝むと知りせば  寝ようとなることを知っていたなら
立薦も  薦の屏風も
持ちて来ましもの  持って来たものだが
寝むと知りせば  寝ようとなることを知っていたなら(なあ)

小生好みの歌。この場でほとんど意味のなさそうな、"寝むと知りせば"を繰り返すところが愉快だからだが、逆に、だからこそ駄作と感じてしまう人もいよう。
要するに、この歌、イヤー、予想だにしないで眠り込んでしまったが、お蔭でこんな場所で寝る破目にと、反省しているだけ。暗殺もありそうなことと人は言うが、まさか弟が、ここでそんな手に出るとはね〜、といった調子。
宮からは何も持ち出せず、軍勢も連れていないが、そんなことはどうという問題では無いと歌で雰囲気作りをしていると言ってよかろう。全員大笑いでは。
これこそ天皇らしさそのもの。

一方、儒教的センスで眺めると、真逆に受け止めることになり、頓珍漢な天皇とされかねない。
深酒酩酊で寝ていた宮に放火され、幸運にも臣下の機転で辛くも暗殺を逃れ、逃亡の途中であり、まだ安全が確保できていない状況での歌だからだ。しかるに、どこにも緊張感が感じられないし、敵への復讐など全く考えもしないのだから、これはナンなんだと見る人がいてもおかしくはなかろう。しかし御製である以上、そんなことは言えないから、難解な歌との評価になっておかしくない。

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