→INDEX

■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.30] ■■■
[歌鑑賞88]君が行き日長くなりぬ
【軽大郎女】どうにもならず軽皇子のもとへ
岐美賀由岐きみがゆき 氣那賀久那理奴けなかくなりぬ 夜麻多豆能やまたづの 牟加閇袁由加牟むかへをゆかむ 麻都爾波麻多士まつにはまたじ
㊄(5-7)-(5-7)-7

    故 後亦不堪戀慕 而 追往時
    歌曰

君が行き  あなたが出で行ってから
日長くなりぬ  ずいぶんと日数が経ってしまいました
山たづの  (葉が互生している)接骨木の(様に)
迎へを行かむ*  お迎えに参りましょう
待つには待たじ  お待ちするなどできませんから

「萬葉集」[巻二#90]に引用されている。
古事記曰 軽太子奸軽太郎女 故其太子流於伊豫湯也 此時衣通王 不堪戀慕而追徃時歌曰・・・君之行 氣長久成奴 山多豆乃 迎乎将徃 待尓者不待
辞書では"迎え"の枕詞とされている、植物の"山たづ"表現が気に入られて収録されたのであろうか。

この木は接骨木ニワトコのことだそうで、山に生えているとされるが、今ではほとんど出会うことがないからそのうち忘れ去られる植物かも。
古代はどうだったのかは推定できないものの、花色は薄黄色であり目立たないし、実は赤色系だが他の樹木があるからわざわざ祭祀用に使う必要もなさそうだし、歌に詠みこみたいメジャーな植物には見えない。

葉が相対しているから、その気分を著すという見方が当たっていそうではあるが、豆科の特徴でもあり珍しい訳でもないから、他の木でもよさそうなもの。枝が寄り添うかのような樹形をしみじみと見ていてジーンと感興を覚えたことは間違いなさそうだが。

ただ、この木は兄妹が育った頃からの馴染みで、お気に入りだった可能性があろう。
小生は、"やま多豆"と表記してあるところから、万病薬用として知られる"ベリーの木/五iヤ"としての位置付けと考えるとよいと思う。その薬効と歌の内容とはなんら関係ないが、そのような木なので、当て字に過ぎないが"庭常"として植えられるようになった位だから。

【*】"迎へを行かむ"は違和感を覚える助詞の使い方である。

 (C) 2022 RandDManagement.com  →HOME